年別アーカイブ: 2015

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草もち

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写真中央にいる帽子の女の子。このメンコイ4才の孫にね、春になったらみんなで草餅ついて食べようって、雪深い頃に言ったんですよ。 そのときのこの子の頭の中は??がいっぱい。『えっ、草? くさなんか食べるのやだナ』・・・ンで、きっぱりと断りました。 「草やだ!草きらい!きな粉のお餅がいい。」このまま大人になる訳じゃない。どうせどこかで気付くんだから、ま、いっか。 いや、良くない。ここは流してはいけない。春になったら自分でヨモギを摘んで、いっしょに草餅を搗こう。買ってきて食べさせたんじゃダメだ。多少めんどうでも餅米を蒸して臼と杵で搗くんだ!なんてね。連休の一日、仲間が家族で集まるのに合わせて、何年かぶりで餅を搗いたんです。アンコを入れてまるめた草餅と白い餅。もちろん本人も喜んで草餅を食べてました。終わって、タワシで臼を洗いながらちょっと感じたんです。いい時間だったなってね。

ジェラシー?

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二ヶ月くらい前の朝方、留萌沖を航行中の<そうや>(昔の南極観測船。今は<しらせ>に南極を任せて北の海で活躍)から電話が入った。北極や南極で極地の気象や氷を研究している知り合いの准教授からだ。数日前に台風並みに発達した二つ玉低気圧が北海道に猛烈な嵐をもたらしたが、ちょうどその頃にオホーツク海上で流氷を観測していた<そうや>も巻き込まれて大変だった様子。 「氷厚測定器の防水ケースが大時化で壊れた。昼過ぎに小樽港に入ったらそのまま北大の低温研究所に運ぶから、悪いけど修理が可能かを低温研に来て見て欲しい。」仕事の手を休め、約束の時間に出かけたのは言うまでもない。夏には北極に持って行くがそれまでは使わないとのことなので引き取って帰ってきた。そして先日から修理に取り掛かったのがこの画像。 他には無い初めてのものを作るといっても、実際に極地に行ってテストすることは出来ない。北海道の冬山での体験や、知識と想像をさらに拡げながら頭の中でシミュレーションを何度も繰り返す。 壊れたものを直すときもそうだ。使用状況やその原因がフィードバックされることもあるが、なぜ壊れたのか、強度の問題なのか、位置が悪いのか

気配

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雪の白さと黒い地面のオセロゲームが始まると、冬のなごりを押しのけるようにフキノトウが枯れ野から吹き出します。地肌にちらばる萌黄色の点々は、遠目にはまるで満天の星のように光って見えています。 コブシやサクラの開花と競うように、これから10日ほどの間に、50センチを越える草丈にまで伸び上がり、何のじゃまもない原野の上を吹き渡る風に種子の綿毛を預けます。そして、用済みになって突っ立ったままのフキノトウの根元からはたくさんの蕗の葉が萌え出し、一面の枯れ野はみどりに変わっていくのです。 遅れて目覚めたエゾヨモギたちがフキの葉の丈を越える頃、今は未だ地中に眠るフキバッタたちの卵が孵って大発生し、音をたててフキの葉を蝕み始めます。そしてその頃です、キツネやタヌキの糞に消化できないバッタの脚が無数に混じるようになるのは。そんな春の原野を優しく踏みながら、立派な三つ又の角を持つオスのエゾシカが、ゆっくりゆっくり工房裏手の窓の向こうを歩いて行きました。なにげなくそのあたりの地面を見ると、軒下の壁際に子グマのものらしき糞のかたまり。といってもこの冬籠り中に産まれた乳飲み子ではないので、明け2才ということに

もりのクマさん

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工房のすぐ近く、前回の画像と同じ湿地で今朝ヒグマを見かけました。工房に置いてあるカメラを持って、足音を立てないようにそっと引き返し、姿が確認できてからは腰を屈め、息を殺してジリジリと間合いを詰めます。冬籠りから目覚めたばかりののこの時期、宿便を出して体調を整えるためにも、こういった水辺に多く生えるザゼンソウやミズバショウ、それにセリ科の植物の根などを掘り出して食する様子が見られます。 15メートル位まで近づきました。浅い水の中に立ち込み、鼻先も水中に突っ込んで何かを探しているようです。カエルかサンショウウオの卵でも見つけたのでしょうか。全身が黒っぽく、顔が明るい茶色で体長が1、8メートルほど。おそらく3才くらいのオスかと思われます。 顔を上げたらシャッターを切ろうとカメラを構えたとき、下からクルマのエンジン音が聞こえてきました。まだそのクルマが見える前にヒグマはさっと山側に身を隠します。 運転していたおばさんはヒグマに気付くどころか、カメラを持って道端でほふく状態のこちらの姿に仰天した様子で通り過ぎました。こちらの存在には気付いていないはず。しばらくその位置を動かず、30メートルほど

春に響く声

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いつもグズグズと去りぎわの悪い冬が、今年はあっさりと春にこの土地を任せて退散したようです。工房の近くの湿地から何かの気配がしていました。といっても100メートル以上離れた場所。耳を澄ますと僅かに、ヒリヒリヒリヒリというかシャラシャラシャラというか、何かの生き物が鳴く声がしています。 この時期、雪が消えた水たまりのような水面にカモたちが降りてきて、エサをついばみながら鳴き交わすシーンがよく見られるのでそれでしょうか。 ちょっと確かめてみたくなり、足音で脅かさないようにそ〜っと近づいてみました。 近づくにつれ、ヒリヒリ音はキュルルキュルルという声の大合唱になってきて、どうやらこの音はカモではなく大興奮の蛙たちだと判りました。身体を低くして水面を観察すると、無数のエゾアカガエルたちが水から頭を出し、頬を震わせながら競うように鳴き交わしていました。こちらの気配に気付いた近くのカエルがさっと頭を沈めた水中を覗き込むと、エゾサンショウウオも身をくねらせて産卵に夢中です。 この様子を見ていて<啓蟄>という言葉が頭に浮かびました。冬ごもりの虫たちが穴の中から這い出てくる頃のことをいう啓蟄は、二十四節