
医者もまた人なり。 患者として医者に接する時、ともすれば自分よりも程度の良い人間と位置付けがちだが、いやいや、それはこちらの勝手な思い込みに過ぎないと、あらためて医者自身が教えてくれた。そもそもは先月半ばに始まった。普段は使っていない眼鏡が視力に合っているのか不安だったし、右眼の視界の下の方に小さい影があるのも気になって、自宅の近くの眼科医を訪ねることにした。幾つかの検査をして、眼鏡の度数は問題ないこと、右眼の影は眼底出血なのでレーザーで毛細管を焼く手術が必要という診断が出る。そして数日後に、網膜を広げる処置をしてレーザーによる網膜光凝固術を受けた。 しばらく休んだ後、出血を押さえる薬を処方され、それが無くなる2週間後に来るように言われて自宅に戻る。 そこまでは良かった。だが、眼があくようになると視界の下半分近くが見えない。時計の針で表すと3時45分の位置から下の部分が黒く、中心付近が歪んで見える。TVで歌う美少女の顔が、まるでムンクの叫びかゾンビのようだ。 それでも、当日は仕方ないものと思って2週間という時間を待つことにした。しかし、3日たち5日たっても変化の無い状況に不安は増幅し、


