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春に響く声

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いつもグズグズと去りぎわの悪い冬が、今年はあっさりと春にこの土地を任せて退散したようです。

工房の近くの湿地から何かの気配がしていました。といっても100メートル以上離れた場所。耳を澄ますと僅かに、ヒリヒリヒリヒリというかシャラシャラシャラというか、何かの生き物が鳴く声がしています。
この時期、雪が消えた水たまりのような水面にカモたちが降りてきて、エサをついばみながら鳴き交わすシーンがよく見られるのでそれでしょうか。
ちょっと確かめてみたくなり、足音で脅かさないようにそ〜っと近づいてみました。
近づくにつれ、ヒリヒリ音はキュルルキュルルという声の大合唱になってきて、どうやらこの音はカモではなく大興奮の蛙たちだと判りました。

身体を低くして水面を観察すると、無数のエゾアカガエルたちが水から頭を出し、頬を震わせながら競うように鳴き交わしていました。こちらの気配に気付いた近くのカエルがさっと頭を沈めた水中を覗き込むと、エゾサンショウウオも身をくねらせて産卵に夢中です。
この様子を見ていて<啓蟄>という言葉が頭に浮かびました。冬ごもりの虫たちが穴の中から這い出てくる頃のことをいう啓蟄は、二十四節気の春分の前ですから3月の初め頃にあたります。

サクラの開花やヒバリの初鳴きと同じかもしれません。この北国では啓蟄もひと月遅れなのでしょう。

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