
懲りずに毎日降り添える雪を除雪していたときのことです。思い切り遠くまで飛ばしてやろうと、除雪機を高速回転にするのですが、強い向かい風には勝てません。つぎつぎ飛ばす雪のほとんどは思った位置より手前に押し戻され、なかんずく自分自身の目といわず耳といわず全身が真っ白。 そんな時、エンジンの音に消されながらも何げなく自分の口から出た言葉にハッとしました。「・・サムライの子は腹が減ってもひもじゅうない・・」 口癖というほどではないにせよ、子供だった私に亡き父親がときどき投げかけた言葉でした。「武士は喰わねど高楊枝」を子供向けにアレンジしたものだったのでしょうか。いや、父親自身も周囲の大人からそう言われて育ったのかもしれません。 身分や階級が無くなった今では、いにしえから続いた武家に生まれ、自らの身体に侍の血が流れていることなど何の意味があるのでしょうか。いえいえ、これは自分自身の精神世界にとって非常に重要な、いわば心の軸のようなものでしょう。空腹時に唱えるおまじないではなく、身体的に苦しい時、金銭的に切ない時、いわば追い詰められたときに自分自身を諌める言葉として何度も何度も繰り返してきたような気