
子育てから開放されたからか、ルルの動きにどことはなしに若い頃の軽快さが戻ってきた。毛艶も良くなってきたし、なにより独り身の気楽さが眼差しの奥に潜んでいた暗さをどこかへ押しやった。 いつもの林から草地に出てきたところを見つけて、写真に撮ろうとカメラを構える。 レンズに慣れたのか全く気にする素振りもない。10メートル位まで近づいたところでファインダーから目を上げて肉眼で見た。視線を感じたルルは気まずそうにその場にピタッと止まり、横を向いて素知らぬ顔。 また顔をカメラに戻すと、すくい上げるようにこちらを見ながらゆっくり近づく。また顔をあげると、その瞬間に動きをとめて視線をあらぬ方向へ。 動いては止まりを4〜5回繰り返して少しずつ近付き、3メートルほどのところにあるいつもの場所に腰を下ろしたのだが、いま起きた事、この1分間を振り返って遠い時間を想い出した。 子供の頃にやった「鬼ごっこ」じゃないか。板壁や電柱に顔を押し当てて目をつむり、十の文字数を言い換えて「だるまさんがころんだ、だるまさんがころんだ・・」と数えながら、振り向いたときに動いているヤツを見つけるとそいつはアウト! ・・って。 な〜