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今年も・・

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前述の雪はこの10日ほどですっかり消えて、工房そばの谷地には時を待ちかねていた水芭蕉が白い仏炎包をのぞかせています。 今年も冬籠から目覚めたヒグマがいつもの場所に姿を現しました。体の大きさから若いオスのようですが、足が濡れるのもいとわずに採餌に集中しています。 美味しそうなものがあるとは思えませんが、同じサトイモ科のミズバショウやザゼンソウの苦い根を食べて、長い冬に耐えた宿便を出すのだそうです。 人間の側の事情ですが、法改正があって今年から狩猟圧が高まることが予想されます。不用意に人間社会に近寄らず、孤高の獣としての生を全うして欲しいものです。

遅い春

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何度かドカ雪のあった札幌の街なかよりも降雪が少なかった南区ですが、3月に入ってから続いた低温の影響で遅い雪解けになっています。 市内中心部は数日前に積雪0cmとなりましたが、工房周辺ではまだ数十cmの積雪です。それでも日当たりの良い斜面やこの湿地では、黒々とした土の色が勢いを増し始めました。 この雪解け水の中から顔を出すミズバショウやザゼンソウを求めて、そろそろ冬籠りから目覚めたヒグマが見かけられる頃です。それに厳しい冬を生き抜いたエゾシカたちも、穏やかな陽射しを楽しむように水の中に立ち込みます。

ゾンメルシー

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捨てられない物、消え去って欲しく無い物のひとつに<ゾンメルシー>がある。 雪上移動のツールとして北欧などでは太古からあったらしいが、最大の特徴は滑走面全体に貼り付けられたアザラシ(英語=シール)の皮だ。後方へ向かって毛足を揃えることで、前には良く滑るが後ろには下がらない。この機能がそれまで足をうずめながら一歩ずつ歩いていたカンジキを用いた雪中行動から、大きな浮力の自由な登行と短時間の滑降が一気に得られるようになった。 ゾンメルシーはドイツ語で、英語で言えばサマースキー。滑るためだけの道具では無いし夏に限って使われる物でもないが、氷河を抱く欧州の山岳部で進化してきたものという。子供の頃、気象台勤務の父親がそのころロボットといった(現在のアメダス)、山上に設置された気象観測設備の自記紙やバッテリーの交換に冬でもこのゾンメルを履いて出かけていたものだ。 20年ほど前まで日本で唯一このゾンメルシーを製造販売する秀岳荘の依頼で、年間300台ほどオーストリア製の板にアザラシの皮を貼っていたことがある。北電をはじめとした全国の電力会社の送電線管理の人たちや、積雪地で活動する猟師、営

ポンコツ

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  「今年の冬は楽だア」「こんなに雪が少なくて穏やかな正月は何年ぶりだア」 ところが、というかヤッパリ、「ナメてました。すいません!」となりました。いや、分かっちゃいるんです。毎年のことですから。分かっちゃいるんですが、今週はじめからの連日のドカ雪にはホントまいってます。日本海と太平洋の上に居座る二つ玉低気圧が降らせる雪と、毎日が根性比べの連続です。除雪機は連日のハードワークにあちこち故障するし、足腰も両腕も悲鳴をあげはじめました。今日もこれから作業場とキャンパーの雪下ろしで、仕事なんかやってるヒマがありません。 同年配の友人知人と話す機会があると必ず話題になるのが健康問題。場が盛り上がるほどに、他人の医者通いを聞いては自分の病気を半ば自慢げに話す者。更に酷い目にあったやつが話し出すと、同情したふりをしながら似たような病気で死んだ奴のことを持ち出す輩が必ずいますよね。 満身創痍とまではいかないものの、手足が多発性筋肉痛で膠原病内科、眼が白内障で来月手術、その上かかりつけ医で高血圧と痛風の処方では、この我が身をポンコツと認めない訳にはいきません。

鹿を喰らう

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近所のハンターが、工房のすぐ前で獲った鹿を回収できなくて難儀していた。ひと月くらい前からこの辺りでメスを呼ぶ甲高いラッティングコールを繰り返していた100キロを越すような立派な角の牡鹿だ。ほんの20mほどの距離だが、登り勾配に加えて数年前の台風で生じた倒木が折り重なり、放置されたまま荒れ果てている。二人がかりでも大きなアカシアの倒木を乗り越せないで呆然としているのを見て、高みから傍観している訳にはいかなくなった。結果、結構な汗をかいてクルマに積み込んだのだが、世話になったということで、解体を終えたハンターが鹿肉を持ってきてくれた。 骨からきれいにはずしたロースとモモ肉のブロックだったので、カミさんが腕をまくって鹿肉ローストと鹿肉の赤ワイン煮込みを作ってくれることになった。うるさい子供達は呼ばずに大人だけで味わおうと、先週末に鹿を喰らう会を催すことにした。 で、いつもの仲間が集まったのだが、どうもこれまでのイメージとは違ったようだ。工房の呑み会にこんなお洒落な食事は似合わない。ドラム缶を半分に切った焼き台に脚一本や半身丸ごとをのせ、塩胡椒をぶっかけながら焼けたところから各自ナ