Blog

帯広がいい、十勝が好き

記事イメージ

今から半世紀も前、初めて十勝平野を見たのは狩勝峠の上からだった。 当時、札幌から道東へ向かうには12号線を北上し、赤平、富良野と38号を進み、狩勝を超えて東進するのが一般的なルートで、日勝峠はまだ曲がりくねった狭い砂利道だったし、襟裳岬を回り込む黄金道路が完成を見るにはもっと時間が必要だった。 それほどキツくは無い峠道を富良野側から昇り詰めると、いきなり前方が崖となって切れ落ち、視界にはその果てを霞に消して十勝平野が広がっていた。雲間から差し込む太陽光線が平原のあちこちに光のスポットを落とし、映画で見た天地創造を連想させたのを、今でもはっきりと覚えている。 爾来、どれだけ十勝への道を走ってきたことか。10年ほど経つと日勝峠が主要なルートとなり、始めのうちは千歳から早来、穂別、日高を経由。やがて石勝樹海ロードが開通すると夕張から日高経由になり、道東道の開通によって、どちらの峠も経ることなく長いトンネルを抜ければそこが十勝というように変わった。 冬の晴天の強烈な冷え込み、太陽に焦がされる暑い夏。それでも時々現れる屏風のような防風林を後ろにしながらどこまでも真

一瞬の秋

記事イメージ

確かにひと月前までTシャツで間に合う夏でした。 バタバタと暮らしに追われながら雪虫の浮かぶのを見、道端で栗を拾い、山や峠の雪をニュースで見ているうちに、天気予報では来週あたりが雪マーク。ほとんどの木は葉を落として急に山が明るくなりました。北国の生活者にとって「夏と冬の間は秋」という漠然とした観念こそあるものの、冬に向かっていっきに駆け下るようなこの季節は、立ち止まってゆっくり季節を味わえるような優しい時間ではありません。 工房のまわりの全ての生き物はやがて来る冬に備えようと真剣です。親と別れたヒグマは、見つけたコクワの蔓によじ登って甘くなった実を食べ尽くす勢いです。交尾期を迎えた雄鹿は、たまらなく哀切な声を張り上げて雌にアピールしています。エゾリスは走り回り、カケスはうるさく鳴くのも忘れて貯食に余念がありません。 それにしても今年はカメムシの発生数が異常です。めずらしく昨年から2年連続で茶色いクサギカメムシが大発生。しかも去年の6倍という数が原因か、同じような場所で冬籠りする他のカメムシやテントウムシを今年はまったく見かけません。9月の末から冬眠場所を探して猛烈に飛び

積丹町美国にて

記事イメージ

Super Girl,女傑、烈女・・って旧過ぎるか! LGBTが社会問題化している昨今、性差をいうのは時代錯誤かもしれないが、敢えてそう形容したい女性がいる。 彼女を知ったのはまだ学生っぽさが残る今から四半世紀も前(歳が判るってか)。当時の歌手にあやかって名前に〇〇リンをつけて呼ぶ若々しい女の子だった。 スキーのイントラ繋がりということで、シーカヤックに入れ込んでいる男達が連れて来たのが始まりで、すぐに自分のカヤックが欲しくなり中古艇を入手する。時間を作ってはスキルアップに励むばかりか、新谷暁生氏の知床エクスペディションに助手として師事。やがてフィールドを積丹に移し、当時初めての女性カヤックガイドとしてそれを仕事にしていく。 話はそれだけに済まない。学生の時からバスケットボールの選手として何年もの間、国体の北海道代表をつとめ、スキー上達を目論んでシーズンオフの夏場にオーストラリアへ出かけるかとおもえば、基礎スキー習熟に励んで全国大会にもエントリーする。ゴルフを始めたかとおもえば、キャディーをしながらチャンスがあればラウンドを楽しむ。 家業の事務を担当しているかと思えば、

エンディングノートとリビングウィル

記事イメージ

ひと月ほど前、同居していた母親が亡くなった。 3年前に食道がんが見つかり、年齢のこともあって手術はしないと自分で覚悟を決めた。いつかは来るその日を少しでも悔いなく迎えるために、それまでボチボチだった終活が忙しくなった。自分自身や亡くなった父親との思い出が詰まってはいても、捨てるものは思い切って処分し、もらってくれる人があればせっせと荷造りして発送。「そんなの置いとけば後で俺たちがやるから、そんなに動き回ったら具合が悪くなるよ。」周りの心配を聞き流し、同時に遺書を書き直すとエンディングノートとリビングウィルも墨書し始めたようだった。 金庫の鍵はどこどこで、中にある遺書は私が死んだら兄弟で見てほしい。生命保険や年金の証書もそこにある。生前お世話になった人や親しい人に書いたお別れの手紙の束には、全て切手が貼ってあるから投函してくれればいい。葬儀は出来るだけ質素で誰にも知らせず、必要なお金は封筒に入れてある。 何度も加筆した様子のあるエンディングノートは、いつも座っているイスの後ろの引き出しに入れてあった。 手術をしないと決めた時から、治療はせず苦痛のみを和らげる緩和ケアに掛か

クマとシカそしてアカシア

記事イメージ

どんどん進むカレンダーの日付に尻を叩かれつつ日々の仕事をこなしていたら、もう半年が過ぎて7月がすぐそこに・・。 5月、例年のように近くの湿地でヒグマの姿を見かけることがなく、少し残念な気持ちもあったが、いつもとは違う道路の反対側の伐採地で5~6回続けて見かけた。フキでも食べていたのか、繁殖期に移動しないところをみると雌だろうか。体長1,5M、100kg以上はありそうだ。 この推測は当たった。6月の初め、体長1Mほどの2歳と思われる子熊が、<羆出没注意>の看板がある道路の上で寝転がっており、こちらに気付くや親のいるほうに駆け下っていった。 今年の3月末には、札幌の住宅地から400M  の登山道近くで冬ごもり穴を調べようとした調査員が、母熊のアタックをうけてケガをする事故があった。 すごい勢いで繁茂する枝葉に隠されて、この親子を道路から見かけることはできなくなったが、ここから1km弱の住宅地に近づくことなく、この周辺でのんびり暮らしてくれることを祈りたい。 これまでに経験がないことだが、たのしみに見守っていたウドがエゾシカに食われてしまった。植えたわけではなく