作業場所の真正面。10メートルちょっとの草っ原の向こうに1本のトドマツがある。胸高直径40センチ、樹高15米で高さのワリには太めの自然木だ。 新緑の中で黒々と、枯野にあって青々と、吹雪や風に耐えながら、毎日のように窓の外のそこにあって黙しているが、この太さには訳がある。クリスマスツリーのような端正な樹形で順調に成長していた20年前、そう2004年の台風の強風で真ん中から幹が折れてしまったのだ。折れたみきの先端脇から出た2本の枝は天上に向かって伸び続け、今ではそれが全く分からないほど自然な樹形になってきた。 その灰色の木肌にヒグマの爪研ぎの痕がつけられた。この春から2頭の子熊とその親がこの辺りを歩き回っているが、キズの高さやいたずらのような爪痕から、体長1メートル前後の2年目の子熊の仕業らしい。爪研ぎとはいうが、これはマーキングに近いもので、自己顕示の一種のようだ。成獣の爪痕ならもっと高い位置でもっと力強い。 辺りに散らばるエゾシカの糞と盛り上がったヒグマの糞をスマホで撮った知人が言う。「うわ、これSNSで絶対ウケるわ。『熊や鹿たちと暮らして』って!」 「おい、や
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前回から1ヶ月
吹雪が止んで
製造責任
振り返ると、道具として発展途上ではあったが新しい可能性があったこと、当時は国産の製品が無く、いくつかの輸入品は高価であったことなどがスノーシューを作り始める動機といえば動機だった。はじめは製品として販売することなど考えず、興味のある周囲の者に提供するうち、意外な高評価と製品化の勧めに何となくその気になってしまった。このあたりが日曜大工オヤジの腰の軽さで、素材や加工法の乏しい知識に苦労しながら、1996年に3タイプを製品として発売することになる。 以来20年弱、こちらが予期しないユーザーの使い方や素材のミスマッチを克服しながらマイナーチェンジを繰り返し、8タイプに増えた時点で製作中止を決断することになる。その間にスノーシューは広く認知されることになり、それに比してハイスペックなエンドモデルから中国製の安価なエントリーモデルまで出回るようになると、もう少量手作り製品の出る幕ではない。 もともと材料代や労賃を無視して苦労を楽しんできたスノーシューの製作を止めてしまうことに何も未練はないのだが、これからも続けていかなくてはならないのは修理の問題だ。今まではフィードバックにも
10年に一度?
「1 月24日から25日にかけて日本列島は10年に一度の寒気に覆われ、北海道・東北から九州鹿児島まで最低気温が氷点下になると共に雪による障害に最大限の注意が必要です。」 先週あたりからTV各局のニュース番組は喧しく雪による被害をトップで伝え、予想される交通障害や災害に対する備えを繰り返し呼び掛けていました。 実際今朝のニュースでは、普段あまり雪に縁がない九州や中国地方のレポートに多くの時間を使って異常さを強調していますし、通行止めで長時間動けない運転手の声などもキー局に集まっています。 我が北海道でも低温と暴風雪の注意報が出され、病み上がりの身に除雪作業はキツイなと思ってはいましたが、降雪量もさほどではないし、どうやらそれほどの事も無さそうな気配です。札幌の最高気温は➖10℃との予想ですが、街よりも寒いとはいうものの工房の物置に掛けた温度計では現在➖14℃、今朝の最低が➖18℃と記録されていました。 それにしても10年に一度とは注意喚起用のワードなんでしょうか。北海道在住者にとってはひと冬に何度か➖20℃以下になることもあるので、この程度の低音や積雪で困るという