
今から50年前のクリスマスイヴ、当時まだ10代だった我が妻と二人で、岩手県北上警察署の隣にある喫茶店の椅子に沈み込んだ。 他の客は奥の席で賑やかに意味不明の東北弁を喋る6〜7人の男女。店の入り口や窓際にはクリスマスらしい電飾が瞬く。自分のことをオラと明るく言う女の子達の笑い声の合間に男達の熱弁を聞いてみると、どうやら地元の4H倶楽部らしい。警察で「署を出たすぐ隣さつどいがあるからそこで待ってればいい」と言われたそのつどいの呼び名が納得できた。地元の若者達の社交場ということか。ちなみに吉幾三の<オラ東京さ行ぐだ>の歌詞につどいが出てくるのだが、確かこの頃にはまだ発売されていなかった。 何をオーダーして何を食べたのか全く記憶に無いが、しばらくして警官が事故証明を持って来てくれた。 そう、見知らぬ東北の夜の郊外で事故を起こしてしまったのだ。 若気の至りといえばそれまでだが、友達に借りた2トン車でひと儲けしようと本気で考えていた。伊豆でミカンを買い込み北海道で売り捌こうと、北へ向かったまでは順調だった。青森に着く頃には暴風雪でフェリーが欠航。当然そこで足止めとなる。荷台