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終活その1・生前贈与

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親の世代を全て見送り、今を生きる家族の最年長者になって、自分達のポジションを時々考えるようになった。これまで何とも思わず持ち上げていたものがだんだん辛くなったり、階段の上り下りで息切れするようになって体力の衰えを突きつけられ、事あるごとに高齢者の分類にはめ込まれて、否が応でも老化から逃れられない命の掟を知る。 80歳半ばの今の日本の平均寿命をベースにするとまだまだ先の事と思えるが、これはハイレベルな医療があってこそ。途上国や紛争当事国では平均寿命が60歳を切る国だって多いというから、終活を考える立場に不足は無い。 終活の取っ掛かりとしてまず思いついたのは息子と娘に対する生前贈与だ。せいぜい葬式代くらいを除いて残す金など有りはしない。そのことを念押しした上で、まだ完全な年金生活者という訳ではなくもう少しの間は働けるから、今のうちに何かを残してやりたい。我々夫婦の子供に生まれて来てくれ、決して満足のいく暮らしではなかったが、それでもそれぞれが誇れる家族を作っている。そんな二つの家族に忘れ難い旅をプレゼントしようと2月頃に夫婦で合意した。 世界中どこでも良い。若い頃から我々

無事だった・・

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一昨日の朝、工房のすぐ近くの道路際で2頭の子を連れた母熊が日向で寛いでいるところに出くわした。カメラを取りに工房へ行ってそっと戻ると、こちらに気付いた子熊を先頭にゆっくり斜面を登って笹の海に消えてしまった。 いつも3頭揃ってというわけではないが、春から何度も見かけていた親子連れを久しぶりに確認できて少し安堵した。というのもその前日の夕方、仕事を終えて国道の方へ下がっていくと、川向こうの山の周辺で2機のヘリコプターが何かを探すようにホバリングしていたからだ。ヘリは山上では無く中腹よりもさらに低い位置に留まり、まるでオスプレイのような爆音を響かせていた。よく見ると3機のドローンが空中で停止したヘリの周囲を動き回っている。こうした行動を見て、熱感知の赤外線センサーなどで熊でも探しているのか?もしかして人身事故でも・・?と、勝手に深読みしていたからだ。 ともあれ、この親子連れに関わることでなくて良かった。 このヒグマたちに教えてやりたい。「この世で最も怖いのは人間だ。ヒトを怖れろ道路に出るな、ヒトに見られただけで殺される!」 無事と言えば、工房の前の笹原の中にあ

爪痕

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作業場所の真正面。10メートルちょっとの草っ原の向こうに1本のトドマツがある。胸高直径40センチ、樹高15米で高さのワリには太めの自然木だ。 新緑の中で黒々と、枯野にあって青々と、吹雪や風に耐えながら、毎日のように窓の外のそこにあって黙しているが、この太さには訳がある。クリスマスツリーのような端正な樹形で順調に成長していた20年前、そう2004年の台風の強風で真ん中から幹が折れてしまったのだ。折れたみきの先端脇から出た2本の枝は天上に向かって伸び続け、今ではそれが全く分からないほど自然な樹形になってきた。 その灰色の木肌にヒグマの爪研ぎの痕がつけられた。この春から2頭の子熊とその親がこの辺りを歩き回っているが、キズの高さやいたずらのような爪痕から、体長1メートル前後の2年目の子熊の仕業らしい。爪研ぎとはいうが、これはマーキングに近いもので、自己顕示の一種のようだ。成獣の爪痕ならもっと高い位置でもっと力強い。 辺りに散らばるエゾシカの糞と盛り上がったヒグマの糞をスマホで撮った知人が言う。「うわ、これSNSで絶対ウケるわ。『熊や鹿たちと暮らして』って!」 「おい、や

前回から1ヶ月

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前回、工房周辺の雪の状況を投稿してからはや1ヶ月。 3月に入ってからは気温も高めに推移して積雪も下がりましたし、毎日氷割りを続ける成果が現れて、地面の半分以上が見えてきました。朝方の冷気で凍った土の表面は、日中のプラス気温で解けますが、その下もかなりの厚さで凍っていて、当分の間はカチカチとズブズブを繰り返します。このぬかるみの季節が終わって固い地面が戻ってくるにはあと半月を要します。 それでもこれからどんどん融雪の勢いが増し、日陰に残る屋根の雪もGW頃には消える気配です。  

吹雪が止んで

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3日間、連日の除雪で閉口しかかっていたが今朝はこの青空。雪と空の明るさに思わずカメラを向けていた。 工房のある南区の山沿いでは例年に比べてこの冬とくに積雪量が多く、二度ほど屋根の雪下ろしをしたら、裏手の窓が全部埋まって地面と屋根がつながってしまった。周囲の雪は2メートル以上の壁になり、そろそろ除雪機で跳ね上げるのも難しくなる。 でもこの明るさは春の光。あとひと月もすればどんどん解け始め、二ヶ月で根雪も消える。毎年のことだ。ゆっくり待ちましょう。