製作をやめていたカナディアンカヌーを、およそ10年ぶりに復活させました。
生産中止を惜しむ声もいただいたのですが、需要が減ってきたこと、傷んできた型を作り直す時間がなかったこと、そして最大の理由は、保管状況によっては木製のパーツが腐食することでした。
シートやガンネルに使っている木材をアルミやプラスチックに置き換えるのは、腐食の心配が無くなったとしても決して美しいとは思えず、様々な条件が重なった時に自分で下したジャッジが生産中止だったのです。
製作を止めてからも毎年1〜2艇の修理依頼があり、そのつど古くなって折れたり腐食した木部の交換をしてきましたが、また作ってみようと思うようになったきっかけが2つほどありました。
一つは、「東京にいる娘が帰ってくるので夏までに直して欲しい。これはその娘が産まれた25年前に買って支笏湖や道内あちこちに出かけた大切な思い出のカヌーだ。」という話しを聞かされたとき。それから、木製の食器などに使われている、無害で腐食を防ぐ浸透型樹脂の存在を知ったことも製作再開の一つです。
写真は、今月の初め秀岳荘のイベントで洞爺湖へ持って行った時のもので、パドラーは支笏湖畔で<CANOA>を主宰する松澤氏でした。
氏の軽快なパドリング技術のせいだったのは確かですが、湖面を滑るカヌーの動きを見つめながら思ったのです。
「う〜ん、なかなか美しい。やっぱり北海道にはよく似合う。再開してよかった」