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生き抜く力

大寒を迎え、これから節分にかけての2週間のうちに寒さは底に達し、積雪深も平年値は最高を記録します。
ここ2〜3日続いた960hPaという台風並みの低気圧が、オホーツク沿岸や道東にドカ雪をもたらしました。
とはいえ、札幌近辺だけは例年とそれほど変わらず、今のところ比較的楽な冬を過ごしています。

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いつもの冬の時間が静かに過ぎる工房周辺ではありますが、音の無い雪原には生き物たちが命の痕跡を縦横に残しています。
画像は50cmもの雪の下のネズミを狙って、キタキツネが掘った穴の跡です。雪の下に感じたネズミの気配に確信を持って、一心不乱に掘り込んだようすが周囲の雪の散らばりようで判ります。首尾よく捕らえて生きる力にできたでしょうか。
エゾシカたちが吹雪を避けて夜を過ごす道路の向こう側の沢地には、何本ものシカ道が出来ているようですし、時々は暗闇に立ち尽くして寒空に哀切な声をこだまさせます。
冬場はあまり活動的でないエゾタヌキの足跡も、好天の朝にはたまに見かけます。脚が短いせいでおなかの跡を柔らかい雪に残しながら、凛とした意思を感じさせるキツネの足跡とは対照的に、あちこち方向を変えつつ遠くの巣穴を目指します。
降りつむ雪の日にはすぐに消されてしまいますが、お行儀良く並んだエゾリスの跳ね跡や、エゾユキウサギの特徴的な足跡には、しばし寒さを忘れさせてくれる微笑ましい温もりが一緒に残されています。

「動物に未来は無い」。酷な言葉のようですが、自然界の生き物に暦の認識や将来の予測があるわけではありません。明日が晴れるか吹雪くかさえも天に任せてひたすら今のみを生き抜く姿に、『まあいいや、何とかなるワ』とすぐに日和る人間ごときを寄せつけない凄味を感じるのは私だけでしょうか。

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