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春に膨らむ

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山が膨らんできました。 遠くに見える高い山はまだ雪で真っ白ですが、通勤途中の道路沿いの山肌は白いものもなくなり、いっせいに萌え始めた新緑が梢から透けて見えていた稜線を隠し、モコモコと大きくなっているように見えます。初夏を過ぎてどの木の葉もみんな緑濃くなると、まとまった一つの<山>という景色になるのですが、この時期だけはそれぞれの木々が冬の屈折から弾けだすように自己主張しています。 シラカバやバッコヤナギのやわらかい薄緑、もう少し緑を加えたカラマツの黄緑、トドマツやオンコの深緑、イタヤカエデの黄色い新芽、カツラの新芽はワイン色。そんな山肌に撒き散らしたピンクのボンボンのようなエゾヤマザクラとキタコブシの白い毬。近すぎても遠すぎてもだめ、数百メートルの距離から眺める山肌は淡いモザイク画のようで、まるで高名な印象派画家の手によるかのように儚く霞んでいます。

新しい朝

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サクラにコブシにレンギョウにエゾムラサキetc,etc. あまりの春フィーバーに文字通り水を差すような雨が3日ほど続き、ちょっと落ち着けと言わんばかり。この時期に相応しい気温とさわやかな晴天の5月らしい朝。42年ぶりだそうです。泊3号機が定検に入って、日本から全ての原子力由来の電力が消えた新しい朝です。 人類が2足歩行を始めた遠い過去から、先を見通せないほどの将来において、この半世紀が人類史上最悪の時代であることに疑いの余地がありません。無毒化処理や中和技術を持たないこの時代の人類が触ってはならない核エネルギーを土台にして、仇花のように狂い咲いたこの半世紀。 今すぐに全てを廃炉にしたとしても、これまでに溜まった人間の手に負えない廃棄物の処理をどうするか全く決まっていないのです。40年間の稼働の後、100000年も深地層で管理しなければならないという計算がどうして成り立つのでしょうか? 科学者は言います。「まあ10万年後に我々人類がこのまま生息する可能性はかなり低い。」おそらくそれは正しい答えです。と同時にあまりに無責任な、人として許されない答えでもあります。 産業界の生産性低下や夏場の

午前開花・午後満開

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聞いたことありません、こんなこと。 気象観測史上初めてだそうです。 昨日午前9時半、旭川地方気象台から桜の開花宣言が出され、午後3時半には満開の宣言が出ました。通常早くても数日かかる満開がわずか数時間。 「どれだけタメてたんだ!」 2月の後半頃から目立って日が長くなり、<光の春>はどんどん進んでいたのに、直接肌に触る<気温の春>が、木や草や全ての生き物を焦らすだけ焦らしておいて、自分だけ勝手にいきなり大ジャンプ。 フキノトウも大慌てで伸びています。こんなに急いで成長痛など出ないんでしょうか。

いきなりの初夏です

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「誰彼問わずに聞かせたい!」好天適温の清々しい朝、林の中のあちこちから響き渡る透明な囀り。 チュイーッ、チュイーッ。ツッピン、ツッピン。キョッッキョッ、ピーユ、ピーーユ。 小鳥たちもあまりの心地よさに囀り交わしているのでしょうか? いいえ、一斉に迎えた恋の季節の中で、誰よりも強く、誰よりも澄んだ声を必死で叫んでいるのです。春先の低温続きで遅れに遅れた雪解けが、たったこの1週間の暖気ですっかりなくなりました。 「こりゃぜったい連休過ぎまで雪のこるナ」誰もがそう思っていましたし、桜の開花予想も札幌はGW過ぎでした。 なんと!遅れた春は東北で暦に追いつき、津軽海峡でいっきに追い抜いて、北海道では例年よりも早くいきなりの初夏です。 山の桜は街より数日遅れですが、膨らんできた蕾はピンク色を帯びて、開きかけてきたコブシの花や、小首を傾げ始めたカタクリの花と爆発の時を待っています。

ルルにベビーが・・

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やっと満1歳のルルだが、どうやらベビーができたようだ。このところ日に日にお腹が目立つようになり、目線もなにやら母親の優しさと鋭さをたくわえ、これまでとは少しだけ安全距離を保つようになった。「まだまだ子供だと思っていたのにそんなにあわてて子供を作らなくても・・。」「勝手に少女扱いしないで! アタシはもう大人よ。」繁殖に寄与することこそ至上の使命とでも言いたそう。 誰の助けも借りずこれから一人で迎えるお産が待っているというのに、誇りさえ眼の奥に湛えながら不安な様子は微塵も無い。暫く佇んだあと、振り返りもせずにゆっくり巣の方へ戻っていった。