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出てくるわ出てくるわ

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もう いい加減にしてくれ!うんざりだ。 先月末に大阪の名門ホテルでメニューの偽装表示が発覚してからというもの、毎日毎日TVのトップニュース、新聞の一面に新たな偽装の文字がこれでもかと並ぶ。 全国の有名百貨店、一流ホテル、老舗旅館、高級レストラン、外食産業まで、全国津々浦々にウソが蔓延し、おめでたい客とプライドを持たない料理人が、ぬる〜い社会を作り上げていた。『だんまり戦術でほとぼりが冷めるまでシラを切り通しますか。いやいや、謝るなら今でしょ。後になって発覚したら最悪です。わが社もこのドサクサのうちに公表して頭を下げる方が、傷が少なくて済みますって。あくまで知らなかったことにしときましょう。ひと聞きの悪い「偽装表示」を使わずに、誰が言い出したのか「誤表示」という新語を使うことにしましょう。それと「長年の慣習」や「業界の常識」というワードもそれとなく挟むように。ただ、あんまり強く言うと突っ込まれますから気を付けて。大事なのは社のダメージです。社長に詫びさせる訳にはいかないから、副社長以下3人ほどで頭を下げときましょう。それから、調理場の人間には絶対にメディアを近づけないこと。』経済成長最優

森の色

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工房周辺の森は、「いつ来てもいいよ」と言わんばかりに冬を迎える準備を整え、今年のフィナーレとしての黄葉が真っ盛りです。 田中角栄の唱えた列島改造ブームの頃に耕作を放棄された畑は、まもなく原野に姿を変え、やがて手が付けられないほど混み合った森になってしまいました。わずか40年程の間に、クルミやナラの実をリスやネズミが運び、サクラやサンナシの種を鳥たちが運び、シラカバやイタヤの種を風が運んで、今では飽和状態と言えるほど自然度の高いうっそうとした林になってしまいました。 ここまで混み合ってくると、太陽に焦れてみんなが背伸びをし、梢のあたりで枝葉を拡げるので、背を高く伸ばせない木々は大きく育つことができません。夏場は薄暗くあまり色彩の無いこの森も、今が一年でいちばん明るい色に溢れています。もう少しすると全ての葉が枝を離れて土に還り、光が主役の冬に移りますが、芽吹きの始まる春までのあいだ、明るいけれど墨絵のような無彩色の森に変わります。

テーピーピー 2

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農家のYさんがひょっこり顔を見せた。 「オゥ、まいど! ヤイヤァ しさしぶりだな、元気してたか。 いやいやちょっと寄っただけだから仕事続けてくれ。」「だけど、こないだの雪にはまいったな。10年に一度の台風だっちゅうから、風ひどいべと思って養生したのにョ。吹かねかったのはいいけど、台風が引っ張り込んだ冷気が入ってみぞれから雪だもな。去年より1ヶ月以上早いっちゅうんだからドッテンこいたでや。 まあ、去年は去年で、遅かったのはいいけど、いきなりノッツリ降ってそのまんま根雪だもの、トンとはねたな。」 「おっと、タバコいいか?やめたんだったな。 そばで吸ったらキモヤケルべ?」「今から寄り合いあって行かねばなんねんだけどよォ。ほれ、例のテーピーピーよ。おらァみたいな末端の農家が集まって騒いでも、結局どもなんねんだけどな。したけど、ほんとに腹立つど。最初から誤魔化す気満々なのは見えみえだったけど、やっぱりだァ。聖域は断固守るとか、守れなかったらテーブルさ蹴ってでもとか言ってたのに、大ウソだべや。どうせ、なんだかんだズルズルと金儲けのウマい奴らに持ってかれるのよナ。百姓っちゅうのは昔から死なない程度に

無意根初冠雪

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札幌の西の盟主に初雪です。朝、工房に向かう道のずっと先、高く青い空の下にはっきりと白い雪をかぶった無意根山が見えていました。道東の斜里岳にも、道北の利尻山にも平年より11日遅れの初冠雪だそうです。 連休最終日の今日、好天に誘われてか国道は紅葉見物のクルマで久しぶりの大渋滞。浮遊する雪虫を見つけ、ゆっくりと目で追いながらつい「いよいよかァ」とつぶやいた自分に「・・ん?」。 そういえば、「いよいよ秋だ」「いよいよ夏か」とは言いません。次つぎとたくさんの季節を迎えますが、やはり冬は季節として別格です。受け入れるに当っては強い覚悟が必要です。その覚悟を失わずに耐え抜くこれからの半年を想う気持ちが、「いよいよ」と言わせるのでしょう。雪虫舞う草原にルル(雌=左)とショーン(雄=右)がおそろいで姿を見せました。冬毛を纏い始めたこのキツネのカップルの眼にも、厳しい季節を迎える覚悟が宿ったようです。

退院しました

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1ヶ月弱の入院期間を終えて退院してみると、季節のあまりの変わりようにびっくりです。病院ではずっとTシャツで過ごしてきたのに、外に出て吸い込む空気はもうすっかり秋の冷たさ。上着をはおる時のちいさな風に、夏から秋へのバトンタッチを見損なった無念さがふと匂うようなきがします。工房の周辺でも、もう里山の秋が始まっていました。 房状にぶらさがっていたオニグルミの実はすべて落ち、エゾリスがその実をくわえて、冬の備えに走り回っています。ナナカマドの実も、薄黄色から真っ赤に変わりました。キタキツネたちにもきれいな冬毛が生えはじめ、あんなにみすぼらしかった夏の姿から卒業です。そうそう、卒業といえば、同室の若者たちもそれぞれ退院です。 一日中ヒマさえあれば対戦型ゲームに没頭する高校生に、オヤジの遠まわしな小言や咳払いなど何の効果も無く。さりとて、気まずくなるのを覚悟で爆弾を落とすほどの気にもなれず。それどころか、埋めようのない深い溝に、暗澹たる想いを新たにしました。 美味しくはないけれど、出された食事は残さずに食べるオジサンに対して、「まずいから食わない」と、断固拒否してカップ麺を啜る。トレーの上のごはん