除雪でうずたかく盛り上がった雪の上に、いつものキツネたちが寛いでいました。 春を感知して繁殖行動に入ろうとするこの時期には、オスが行動範囲を広げて活発に行動するようになるのですが、今年で3シーズン目を迎えるこのルルとショーンのカップルは落ち着いたもの。割って入ろうとする邪魔者が現れない限り、仲良く一緒に行動することが多くなってきました。 この時も、積まれた雪の上で二頭がくっつきあって気持ち良さそうに休んでいました。 微風に黄金色の毛先がゆれ、周りの空気を幸福感で満たした2頭の表情を、もっと近くで見たくてそっと近づいてみたのです。3メートルほどに近づいたとき、雪を踏む音に気付いたショーンが飛び上がり、一瞬で10メートルほど先まで駈け去ったのです。ルル(右)の方は身じろぎもせずに眠そうな顔だけをこちらに向け、逃げ出す気配はありません。 工房の中に入って窓から覗いていると、ショーン(左奥)もゆっくりルルの傍らに戻って身を寄せるのですが、しばらくしてまた接近を試みると、やっぱりまた同じ場所まで遠ざかるのです。 この10メートルの距離が、ショーンが安全を保つために必要な空間なのでしょう。いっぽ
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さっぽろっこ
「江戸っ子」とは三代前から東京に暮らしている人、「博多っこ」とは博多で生まれて博多区に住んでいる人。では、「どさんこ」は?「さっぽろっこ」は・・? 北海道民はおう揚だからそんなに厳密な条件なんてない。北海道で生まれた人なら道産子。札幌で生まれた人は札幌っこじゃないの? いやいや、先日の北海道新聞に「札幌っ子」の定義が載っていました。それによると、<定山渓鉄道の記憶がある人>というのが条件だそうです。こりゃまたずいぶんと絞り込みましたねェ。初めて耳にする定義です。東札幌駅と定山渓を結ぶ鉄道は、定山渓温泉の湯治客だけでなく、豊羽鉱山の鉱石を積み出し、石山地区で切り出された札幌軟石を運んで、札幌市南部の発展に多大な貢献がありました。しかし徐々に押し寄せるモータリゼーションの波と、札幌オリンピックを迎える街作りの大きなうねりに抗えず、地下鉄南北線に後を譲るかたちで廃線となったのです。その後は東急グループの傘下で、「じょうてつ」として現在も札幌から定山渓・洞爺湖方面のバス輸送を担っています。オリンピック前に姿を消したこの「定鉄」の記憶がある人といえば、「そういえばあったような・・。」という人を含
舟出
早朝の電話で完成を告げられ、セーリングカヤックの披露パーティーに行ってきた。 ヨットマンでもある㈱光源舎オートプロダクツ社長の中島さんが、2年間の試行錯誤を繰り返し、その集積としての完成艇モデルが形になった。何はともあれ、中島さんの熱意に祝杯を捧げたい。 シロート的思い付きや道楽を極めるなかで、この手の特別な仕様や改造を持ち掛けられることが結構多く、中島さんには悪いが最初の1年位はテキトーに距離を置いて付き合っていたように思う。だが、この人の情熱は違った。業務命令ではなく、興味を持った社員有志をそれとなく味方に付け、それでも自分で体を汚しながらの作業や艤装テストだったようだ。 中島さん一流の経営者感覚なのかも知れない。昨年の今頃には、1年先に横浜で開催されるインターナショナルボートショーに出展を予約してしまった。その時点では完成艇のイメージも固まっておらず、どう見ても無謀な見切り発車に思えたものだが、寝る間を惜しんで注ぎ込んだ1年間の熱意が、展示艇の完成をキッチリ間に合わせたのだ。 写真の1号艇はアマタックベースだが、この他に2艇種のラインナップでのスタートの予定だ。 セーリング関連
光の春
寒さの底を通り過ぎ、光の春が始まりました。 息を吸い込むと鼻腔がくっつくような寒さや、雪かきの重労働にもにも慣れたこの頃ですが、知らないうちにずいぶん日が長くなったことにふと気付いて、「ああ、春めいてきたなァ」と多くの人が顔を上げて呟きます。積雪深が最高になるこの時期なので、目の前の山野は胸ほどの深さの雪に覆われていますが、これからはいくら降り添えたとしても、間違いなく減っていくことを北国の生活者は知っています。三寒四温と言うように西高東低の気圧配置は間遠になり、春の陽光に満たされることが多くなるこの季節です。夏場は鬱蒼として暗い一帯の山林や原野の地表は、降り注ぐ太陽の光に照らされて一年中でいちばん明るくなるのです。木々の梢をすり抜けて、空の青さを惜しげもなく雪面まで届ける太陽の光と熱は、その下に眠る全ての生き物にやさしく春を語りかけます。気のせいだけではないでしょう。この近辺で冬を越したキタキツネたちの動きも軽快になり、来月の発情期を控えてペアリング行動も活発さを増しているようです。
南極から
西日本から東海・関東に数十年ぶりの大雪をもたらした低気圧が北東に進み、オホーツク海上で976hpの双子低気圧となって発達しました。昨日から北海道も冬の嵐に見舞われています。 北海道こそ、これくらいの吹雪や積雪は冬としては当たりまえの天気ですが、本州各地では大変な雪害になったようです。東名をはじめとした高速が止り、各地の道路上では2日間も車が動けなくなって炊き出しを受けたり、住宅やアーケードが雪で潰れたりと、ここ数日はソチオリンピックの話題とはり合うかのように大雪関連のニュースが続きます。 千歳空港で足止めされている観光客が怒鳴っていました。「こっちはこれだけ雪が降っても何ともないのに、何で羽田がアウトなんだよ。」いろんな予定や仕事がある大人は大変でしょう。でも、ふだん雪のめずらしい本州各地の子供達にとっては、一生忘れられないほどのファンタジーワールドが体験できたのではないでしょうか。 この雪景色に触れた子供は、大人になっても心底冬を嫌いにはなりません。子供の頃のそんな憧憬から雪や氷の世界に関心を持ち、もっと知りたいもっと見たいと研究者の道に進んだ若者たちが、今年も55次観測隊として昭