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ホオジロくん

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半月ほど前からのこと、ホオジロくんが一日に何度もこの車の周りにやってきます。 ホオジロさんではありません。メスの顔は全体が茶色っぽいので違います。これだけ黒と白のはっきりした顔はホオジロのオスなのです いくら整った顔立ちといっても、ここまでナルシストの小鳥は見たことがありません。バックミラーのこのステーがお気に入りで、自分の姿を鏡に映しては、ちょっと首をかしげたり伸び上がってみたり、背中を向けた体勢から顔だけフッと振り返ったり。まあ、窓の向こうででっかい人間が見つめていても素知らぬふり。 工房の窓ガラスやクルマのウインドに我が身を映すのも好きらしく、バードストライクのように突撃して失神するほどではないのですが、ガラスにクチバシやからだをぶつけながらしばらくホバリングを続けるのです。最初に見かけた時は、珍しい行動にしばらく釘付けにされましたが、毎日となるとそれほど気にもならず、また来てるな程度の反応しかありません。むしろこの立ち位置の下のボデーがウンコだらけで腹立たしい。追っ払ってやろうか。でも、彼にとって本来の場所である工房向かいの林の中に、時おり戻ってさえずる声の美しいこと。 ピッ

困った奴ら

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夏の脇役といえば、毎年ホトホト悩ませてくれるコイツらを挙げない訳にはいきません。 この、羽根が退化したイナゴのようなバッタの名前はミヤマフキバッタといい、同じ時期に似たような場所で大発生するサッポロフキバッタとよく似ています。ちょっと見ただけでは違いが判りにくいこのバッタたちですが、ウドの葉にたかるこの画像はどんな葉でも食べるミヤマフキバッタで、ほぼフキの葉しか食べないサッポロフキバッタではありません。しかし、迷惑な点で共通なのがそのジャンプ力。人間のサイズにしたら超高層ビルを跳び越えるほどの跳躍力で仕事の邪魔をしてくれます。目的の場所をめがけてではなく、着地のことなど考えずにとりあえず思い切り跳んでみるようで、樹脂作業や吹付け作業を一瞬で台無しにしてくれます。このバッタと同じ特攻隊員がセセリチョウです。なんといっても周辺の山肌に無尽蔵にある笹の葉が食草ですから、未来永劫食べたい放題。毎年7月の中旬から8月末にかけて大量に発生すると、意味も無く(もしかして理由でもあるのか?)稲妻波形で飛び回り、窓と言わず壁と言わず、もちろん作業中の樹脂の中といわず、みごとに玉砕してくれます。仕事を増

この夏の脇役は

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工房周辺に所嫌わず繁茂するエゾイラクサの葉に、無数の黒いヤツを見つけました。もともと葉や茎に細かなトゲがあって嫌われ者のイラクサです。旺盛な食欲で食い尽くされてもノープロブレム、むしろウエルカムなことでしょう。ただ、このクロちゃん、例年になく多すぎるのが気になります。図鑑で確認すると、やはりクジャクチョウの幼虫でした。 「蛾じゃないし、トゲだって毒があるわけじゃないから大丈夫。」とは言っても、哀しいかな人間はイメージと偏見の生き物。姿かたちが気に入らないばかりか、数まで多いとなると背中に悪寒を覚える人もいるようです。何かしらの自然条件の変異がもたらすものでしょうが、年ごとに多く発生する昆虫が違います。先週いっしょに呑んだ藻岩山麓に住むM氏は、「今年はハサミムシが異常に多い」と言っていましたが、このあたりではそれほどでもありません。 あと1ヶ月もすると、このクロちゃんたちがド派手なチョウに変身し、開け放った工房の中を日陰を求めて飛び回ることでしょう。 工房周辺のこの夏の主役と脇役は、ドロダンゴを持って飛び回るトックリバチと、このクジャクチョウ、どちらに決まるのでしょうか。

望まれない変更

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我が校の生徒会長シンゾー君のひとり善がりが校内をざわつかせています。 非暴力を謳った校則は変えられないけれど、何か都合の悪い状況になったときには武器を持って戦えるように、生徒会だけで行動指針を決めてしまいました。一般の生徒には詳しい話をしないまま、先日は米國高校へ出かけて番長の小浜君に約束してきました。 「今後もし喧嘩があるときは、今までのようにお金だけを出すのではなくて、武器を持って後ろから付いて行きます。」・・と。 子供の頃から、僕は弱虫なんかじゃないと言い続けたシンゾー君には信念があります。 「敵が攻めて来た時には話し合いなんか約に立たない。自分よりも強そうだから仕掛けても勝てないと思わせることが肝心。それが結果として争いを避ける唯一の方法なんだ。」 そう言いながらも心の底では半信半疑。 「もしかして本当に揉め事が起きたら犠牲者が出るかもしれない。でも今そんなことを言ったら小浜君との約束が守れなくなるかも。役員会を多数決で乗り切るまではトボケとくのが得策だ。」 敵って誰のことですか? 「決まってるじゃないか!となりの国中高校と朝北中学だよ。こっちが腰抜けだと奴らに見抜かれたら何を

狩場山直登沢

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本業は登山家・・といえるほど山に時間を使っている知り合いの新聞記者さん宅から、ギョウジャニンニクのお裾分けを頂いた。 聞けば道南の最高峰狩場山に登ったついでに採ったとか。後日、本人に会う機会があってちょっと立ち話。 「いやア、このあいだはごちそうさまでした。狩場ですか、いいですねえ。俺も狩場が好きでねえ。とくに初夏の直登沢が好きで3回も行きました。」 「その直登沢ですよ、今回登ったのは。」 「えっ、そうなんですか。今ならまだ沢は雪で埋まって滝壺も雪の下だし、アイゼンも効いて気持ちいいでしょう。」そんな話の後で沸々と沢登りの記憶が蘇ってきた。左からの沢が合流した先で残雪が多くなり、水の流れを足の下に感じながら雪の上を行くと滝が正面を遮る。右手の壁をへつった先は6月末までなら大きな雪渓が続く。この沢の最初の一滴が滲み出す源頭を越えると、アオノツガザクラやコケモモのヒースが広がり、やがて斜面はなだらかになって頂上近くの登山道を踏みしめることになる。 そう、この沢には沢登りの最後の詰めにつきものの、急で危ない草付きも、崩れやすいガレ場も、視界を遮るヤブコギもないのだ。この画像はもうずいぶん前