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望まれない変更

我が校の生徒会長シンゾー君のひとり善がりが校内をざわつかせています。
非暴力を謳った校則は変えられないけれど、何か都合の悪い状況になったときには武器を持って戦えるように、生徒会だけで行動指針を決めてしまいました。一般の生徒には詳しい話をしないまま、先日は米國高校へ出かけて番長の小浜君に約束してきました。
「今後もし喧嘩があるときは、今までのようにお金だけを出すのではなくて、武器を持って後ろから付いて行きます。」・・と。
子供の頃から、僕は弱虫なんかじゃないと言い続けたシンゾー君には信念があります。
「敵が攻めて来た時には話し合いなんか約に立たない。自分よりも強そうだから仕掛けても勝てないと思わせることが肝心。それが結果として争いを避ける唯一の方法なんだ。」
そう言いながらも心の底では半信半疑。
「もしかして本当に揉め事が起きたら犠牲者が出るかもしれない。でも今そんなことを言ったら小浜君との約束が守れなくなるかも。役員会を多数決で乗り切るまではトボケとくのが得策だ。」
敵って誰のことですか?
「決まってるじゃないか!となりの国中高校と朝北中学だよ。こっちが腰抜けだと奴らに見抜かれたら何を仕掛けられるか判らない。その前に脅しておくのさ。やんのかー!コラアッ!ケガするぞ・・ってね。」

パワーバランスという実体のない言葉があります。敵と戦っても負けない戦力を持とうとすると、猜疑心に支配されてどこまでいっても着地点などないのが常で、何回やっても必ず決裂する核軍縮会議などはその最たるものでしょう。

だいたい、敵呼ばわりされて「かかって来てみろ」と言われる相手の気持ちを考えてみることはできないのでしょうか。自分を守るにはもう一つ別の方法があることを知って欲しいと思います。相手を不安にさせてはいけません。嫌いな相手でも普段から出来るだけ話し合うことが大事です。たとえ仮想であっても敵視されれば反感が生じます。殴り合いになる前に、少しでも不信の芽を摘む努力が必要です。

誰もシンゾー君のことをヨワムシなんて言ってませんよ。毅然とした態度で、堂々と本音を語り、必要だと思うのなら校則を変える提案をして欲しい。そんなに大事なことを生徒会だけで決めるような姑息な手段は、政治屋のサラブレッドには似合いません。

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