1月半ばに武漢で何やらたいへんな事が起きているらしいというニュースが世界中に配信されたけれど、その時点では一般国民はもとより厚労省の役人だってそれほどの危機感を持てなかったはず。
横浜港に係留されたクルーズ船の中で矛盾だらけの乗客隔離が始まった時もそう。
繰り返される報道で全国民に<新型コロナウイルス>の不気味さが知れ渡った頃、陰性の確信が持てないまま乗客乗員が小出しにクルーズ船から吐き出される。外国人乗客が特別機で帰国し、乗客の大半が下船するタイミングで、それに代わってまるでシーソーの動きのように国内各所で陽性の感染者が報道の主題になっていく。
2月の末には感染者が多発したこの北海道で、全国に先駆けて全小中高校の2週間の休みが決まり、国レベルでもこの措置に同調。この間に<コロナウイルス>は世界100カ国以上に広まり、イタリアやイランでは手が付けられないほどの状態になって、ヨーロッパを中心にパンデミックが起きたと発表された。
今朝の各局のワイドニュースでは、パリやローマの街からは人影が失せ、タカをくくっていたトランプ大統領も国境を封鎖し出入国を規制する措置に出たというのが共通のテーマだ。禁制品でも持ち込まない限り自由に行き来できたはずのアメリカ人とカナダ人はシャットアウトされ、もともと往来自由のEU加盟各国で入国拒否が起きている。
4月に3度目の旅行を計画していたニュージーランドでもそう。3月14日付けNZ政府発表で16日よりあらゆる国からの入国者に14日間の自己隔離が義務づけられたかと思うと、15日にはNZ航空から世界各国への大半の運行便を運休にするとの発表。すでに支払った航空券やホテル代をキャンセルするために、あわてて何十回も電話を掛け続けやっとつながってひと安心。でもまだキャンパーのレンタル料のキャンセルが残っている。
雪に覆われた山の中の工房で、たった一人ボチボチと仕事をしている自分は全くクリーンだから、世界で起きているパンデミックやマスク不足とは無関係。数日前までそう思っていたし、今でもあまり実感はないが、楽しみにしていたニュージーランド旅行が見えない敵のせいで吹っ飛んでしまった。