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失われた春

コロナ禍はアメリカやブラジルでは今まさに大量の感染者や死者を出し続けていますし、少し前にはヨーロッパ各国がそうでした。ただ、わが国では、「コロナウィルスが猛威をふるい・・」といった表現はどうもいま一つしっくり来ないような気がします。

パンデミック下の海外各メディアからもたらされるショッキングな映像をはじめ、昼夜を問わず降り注ぐ<見えない敵>の情報が、国中をとめどない不安と猜疑心から生じる極度の緊張感で満たしたことは否めませんが、幸いにも破滅的な被害に襲われることなく、おおむね脅威は静まってきたように感じられます。

学者も政治家も誰ひとり科学的根拠を説明できませんし、海外の目にはことごとく常識に逆行しているように見えるという日本の感染症対策は、とにもかくにも経済の収縮傾向と自粛生活にピリオドを打つ状況を許したように思います。

武漢の都市封鎖に始まり、クルーズ船のクラスター問題、非常事態宣言と休業休校の要請、渡航禁止や県をまたいでの移動禁止などをうけて、おおよその国民は大勢に従ってこの5か月の間を半信半疑で過ごしてきました。この間、季節と密接なイベントとしてのお花見や高校野球、入学・入社式やゴールデンウィークの大移動まで否定されて、日本中のほとんどの人達はこころに大きな空白を抱え、2020年の春という季節を失ったような気がしているのではないでしょうか。

 

非常に矮小かつ個人的なことですが、3月半ばにこのブログにログインできなくなりました。メニューバーが出なくなり、調べると「第3者によってクッキーが無効です」などと手も足も出ないアドバイス。

己の情けなさの再認識を強いられながら、いたずらに春を見送って夏を迎えようとしていましたが、ちょっと気分を変えて別のパソコンでログインしてみたら、なんと繋がったような気配。何が原因だったのか分かりませんが、抜け落ちたこの3か月間は、無為に時間を見送ってきたような気がします。うまくいけばまたしばらくはブログを使えるかもしれません。

 

人間界には迷いや警戒が渦巻いて、この先も手放しで季節を楽しむことができないと思いますが、工房の周囲の自然環境は、着実かつはずむように夏に向かっています。

 

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画像は何度か見かけた去年と同じ雌熊。2頭いたはずの子熊は、アクシデントがあったのか1頭だけになっていますが、くれぐれも人目に触れないように願いましょう。

ウイルスに引っ掻き回される人間社会をよそに、鹿も狐も狸もウサギもリスも、みんな元気にそれぞれの意思で動き回っています。

 

 

 

 

 

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