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俯き人/ウツムキジン

先日、めったに乗ることがない地下鉄に乗って、あのおぞましい記憶が戻ってきた。

そう、あれは4年ほど前に所用で東京へ行ったおり、地下鉄、私鉄、国電(古いな、今はJRか)に10回以上も乗った時のこと。ラッシュ時間ではなく比較的すいた昼間だったからだろうが、各車輛ともドアのわき以外に立っている人も少なく、ふだん座る習慣がない人でも空いたスペースを無視しているのが不自然でつい腰を下ろしてしまう、そんな感じで座席の定員より少し多いくらいの乗客だった。
異様さを感じたのは両側のシートにずらりと並んだ人を見た時だ。前も横もその先も、全員がうつむいてスマホに目を落としているではないか。まるでゾンビ映画の1シーンにでも迷い込んだようだった。あたりを見回しているのは自分だけ。この大勢の乗客の誰とも視線を合わせることがない。
「異常だ!ぜったいヤバイ。こいつらみんなケータイに生気を吸い取られてる。」

そんな光景は札幌の地下鉄でも同じだった。ゲームに入り込んでいるようであたりに気を配ることもないのだが、アナウンスが終わりドアの開くプシューという音に反応しておもむろに立ち上がる若者。このツールの中に私の全てがあるとでも言い張るように、顔を上げることなく猛烈な速さで指を動かし続ける女子高生。

そんな、うざいオヤジの自分自身も、2ヶ月前からついにスマホユーザーになってしまった。
「仕事中にはさわらないし、たま〜に電話をかけるくらいで、調べものやメールはパソコンで充分。」
そう言いながらずっと拒んできたのだが、月々の料金がガラケーよりも安いとなればもう抗えない。

今のところ使用回数はガラケー時代と変わりないのだが、使い方を知らないからと云われればそうなのかも知れない。いろんなアプリやらSNSを取り込んで時間を費やすようになれば、ジジイのウツムキ人いっちょう上がりと、スマホにキモを抜かれるのだろうか。

話は変わるが、今日の東京は54年ぶりに11月の初雪とか。54年前といえばたしか38(サンパチ)豪雪の年だ。といってもそこそこ年配の、分かる人にしか分からない。
今朝は札幌も冷えて、工房の寒暖計はマイナス10度を示していた。

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