ムキムキボデイーのマッチョなじいさんが、勝ち誇ったようなイントネーションで『ヒキョーだろー」と自慢してみせる殺虫剤のCMがあるでしょう。
これを見る度に、誰からも見えない場所で同じように「卑怯だろオ」とほくそ笑む安倍晋三君が思い浮かびます。
アベノミクスによる景気の順調な伸びで税収は増えている。? 有効求人倍率は連続して伸びている。? と言ったかとおもうと、リーマンショック前夜。? 新興国の経済危機を招く。? だから消費増税は先送りすべきだ。? アベノミクスは順調に成果を上げているから失速させてはならない。? あきれるほどに破綻したロジックを恥ずかし気も無く口にできるこの人は、厚顔無恥という点では希代の総理と言えるでしょう。
増税前には駆け込み需要があり、増税後には消費が落ち込むのがはっきりしていて、それでも将来の社会保障の為にと17年4月からに決めた法律でした。「それまでにアベノミクスで盤石な経済状況ができるから再延期は絶対にない」との約束ををあっさり反故にしてしまい、この延期は国民の為の「新しい考え方」だとのたまわる。
どんどん紙幣を印刷し、大規模金融緩和とやらで銀行にマイナス金利でお金を流し、円安誘導で輸出型企業の業績を上げる。そうして豊かになった大企業や大都市からは津々浦々に富が滴り落ちると?
結局この人の言うトリクルダウンは絵に描いた餅でした。マネーゲームと円安で儲かった一握りの富者たちはそれをしっかり溜め込みました。投資先も先細りが明らかなこの国ではなく成長が見込める新興国に流れました。求人数は増えたけれどそれは数だけのこと、安く使える労働力としての非正規雇用が伸びた求人数の正体です。
次期参院選を控えてこの人は、これまであれだけ自画自賛してきたアベノミクスが未だ道半ばと言いはじめました。今度の選挙は増税延期を国民に問うのだと言います。この道しかないアベノミクスを進めるか後退させるかが争点だとも・・。一方で、最大の狙いの改憲についてはみごとにはぐらかしています。
「与党の議席さえ増やせばこっっちのもの。これまで以上にやりたいことができる。憲法の改正だって夢じゃなくなる。これが政治のテクニックってもんだ。」
将来のビジョンを語ってもどうせ票にはなりません。ケーザイ最優先と繰り返せば、目先の増税延期に強く反対できる人は少ないでしょう。やっかいな舛添都知事は障害になる前に消したことだし、今回もまたケーザイをスローガンにして今度の選挙に臨みます。
「ヒキョーだろー、姑息だろー、だけど何と思われようと選挙ってのはこうやって勝つんだよ。」