「観測船そうや」が北氷洋の調査で使う氷厚測定器のケースを春に修理しましたが、今度は「南極観測船しらせ」の備品で、同じ物の修理依頼がありました。
前後に4M以上もあるアンテナをすっぽり覆って雪氷や海水から守る、そのケースの袖の部分が大破してしまっています。
画像は正常に使われている時の様子で、海氷も穏やかに見えますが、3年ぶりに昭和基地の近くまで辿り着けたという昨夏(1月)も、やはりかなりの悪条件だったようです。大型になった新造船しらせでも、6メートルの厚さの海氷を壊しながら進む作業は困難を極めるらしく、前進後退を繰り返し、厚い氷に乗り上げて自重で壊すか、それでもダメな時はダイナマイトの使用を余儀なくされたとのこと。
氷に突進したときにうまく割れてくれれば問題ないのでしょうが、割れなかった時が大変で、乗り上げた状態でビルのような船が数十度も傾くのだそうで、ケースの破損もそうやって吊られた状態から海氷に叩き付けられたといいます。
重量さえ気にしなければ、そのくらいの衝撃に耐えるものを作るのは可能です。しかし測定値に影響が生じるので一切の金属類は使えないこと、また、解体してコンパクトに納まることや持ち運び易い軽さなど、いろいろな条件から最適な結論を導き出すのにはまだまだ模索が必要です。
壊してくれとはいいませんが、今回修理して再びしらせに積み込まれたこのケースが、もし壊れて戻って来るようなことになれば、またひとつ見えて来るものがあるでしょう。