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病室にて

401号室の窓からは家々の屋根越しに<羊が丘>の緑が見える。月寒丘陵のなだらかな地平は左手に向かって少しずつ下がり、その緑の端には札幌ドームがどんと居座る。
晴れた日のシルバーのドームの上には、遙かに遠い夕張岳のシルエットが鶏のトサカのように重なって、まるでウルトラマンの頭のようだ。
左に目を転じると中心部のビル街、その先には日本海に接する石狩湾が霞みながら弧を描く。

手術から3週間が過ぎて痛みも取れ、ベッドの上で退屈な毎日が過ぎて行く。

4人部屋で同室の患者は、私立高校2年のサッカー部員、公立高校1年の野球部員、それに小6サッカー少年の3人で、それぞれ靱帯や半月板の手術を終え、車椅子から松葉杖になったところだ。ふだんは縁の薄い若者達だが、至近距離で観察してみると結構おもしろい。

学校が近いこともあって、高2サッカーのベッドには入れ代わり立ち代わり友人が訪ねてきて、昼過ぎから面会終了の時間まで大にぎわい。あまりの非常識ぶりに腹を立てたオヤジとしては、おもいきりどやしつけてやることになる。一同たちまちシューンとなって帰り始めるので、追い返す意思は無いこと、大きな声を出して悪かったと謝ったのが10日前。

中学校で教師をする息子にその話をすると、「親父、そりゃダメだ。今の子供なんか、他人はもちろん親からも怒鳴られたことが無いんだから。それに、そんなことしても反発するか萎縮するだけだヨ。いきなり怒らずに。まずは小さい声でやさしく教えて、それでも聞き入れないようなら・・。」と 私をいなす。
確かにオヤジの突然の怒声は効果テキメンで、その日以来まったく友人が寄り付かなくなった。「ちょっと効きすぎたかな」と思う反面、少しくらい理不尽でもいい経験をさせてやったとうそぶきたくもある。

もう一つ。淋しくなったその高2サッカーが攻勢に転じた話。入院当初から、対戦型ゲーム機3台をはじめ、iPAD、PC、それにDSだかPSだか、とにかくたくさんのゲームツールを持ち込んでいたのだが、その対戦型ゲーム機を高1野球と小6サッカーに配って遊び始めたのだ。
それまでひと言も話すことなく無言の距離を保っていた3人の少年が、いきなりゲームに熱中し、急接近してしゃべりだした。そして生活態度も急変する。消灯時間を無視してヒソヒソとゲームに熱中し、食事もわざと食べ残す。競うようにワルぶって看護婦を困らせ、必ず3人ツルんで行動する。

恐るべしゲームのちから。
人の性格を簡単に変えてしまうほどのゲームの強烈なパワーに、さあ、オッサンはどうする。

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