工房から30Mほどのところにある、重なった倒木の下の広い空間を冬の別宅にして、もう2週間以上もルルとショーンのハネムーンが続いている。
本来の巣を引き払ったわけではなく、ときおり様子を見に行っているようだが、最近はほとんどの時間をこっちで過ごしている。
吹雪の日には2頭でその愛の巣にこもり、天気の良い日はその塒のすぐ上にひらけた南向きの斜面で、ときどきじゃれ合いながら、気持ち良さそうに日向ぼっこを続けている。
イヌ科の交尾は一発必中のはずだが、キツネは違うのか。あらぬ声を漏らして交尾する現場を何度も見かける。
この写真がそうだ!・・と言いたいけれど、残念ながら(?)マウントの体勢をとって上に位置するのはメスのルルだ。
慌ててカメラを取りに戻っている間に交尾は終わり、甘い脱力の余韻に包まれている様子を観察することになった。
ショーンの視線はこちらを認めているが、50Mほどの距離が緊張を薄めるのだろう。為されるがまま、けだるそうに許している。
お互いに鼻先や口元を舐めあったり、首の後ろをあま噛みしたり、時々うっとうしそうに身体をかわしてジラしてみたり、メスなのにオスの上に乗っかってみたり・・。
なんだか、人間の男女のまどろみと同じだ・・と思った瞬間、人間のそのシーンを盗み見てでもいるような、恥ずかしい気持ちになってカメラのレンズをそらした。
「まっ、シアワセにやれや。」