「やいやー、ワヤだな。今年は雪おそくてたいした塩梅よかったのにョ。来たと思ったら一気だもなァ。」
頭や肩にのせた雪を払い落としながら、農家のYさんが入ってきた。
この人、選挙が近くなると顔を出す。いつものように「○○に頼むでや!」と言うのかと思って、「選挙かい?」と問いかけるが、「ん・・ああァ・・」と、ちからない返事。
「も、どうでもいいでゃ。何が何だかオラにはさっぱり判らん。センキョ受かったら偉ぶって顔なんか出さんヤツが、今だけヘイコラお願いしますお願いしますだ。お願いしたいのはこっちだって・・。やるやるって口ばっかでよ。ガッパリ国から金もらうんだべ、足の引っ張り合いばっかりやらんでしっかり働けっちゅうの。」
もともとこぼし専門のYさんだが、今回はいつにもまして投げやりだ。
「テーピーピーだってよォ。子方は絶対反対だっていうのに親方の野田は参加するっちゅうんだもの、どもならんべ。それに、ナンなのよ安倍は!自衛隊ば軍隊にするっちゅうしョ。万札どんどん刷って景気が良くなるんだったらオラでもやるわ!それでも自民党がまた天下取るんだべ?」
「そうだなァ。愛想尽かして別れたはずの亭主なのに、やっぱり若い男じゃ頼りにならんって、またダメ亭主とヨリを戻すんだもの。情けない国だよな、この国は。」
「石原さん、都知事辞めた時は暴言吐いて元気だったのにョ、今なら橋下と足して二で割ったらかえって勢い無くなったべ。」
「まあ、そんなもんだろ。石原さんだけじゃない。隣の国の三代目のデブチンだって、同じく三代目の安倍さんだって、百円のゼンコに困ったこともないし、ひもじい思いだってしたことない。ガキのうちからエリート扱いだもの、思いやりもデリカシーも身に付かなくて当然だよ。」
「んだな。したから今回はオラ行かね。入れたいヤツなんかいねもの。」
「いやいや。俺だって入れたいヤツなんか居ないさ。でも、こいつはダメだってヤツらはいるだろ?だからそいつ等をみすみすのさばらせないためにもパスしたらダメだ。」
「そっかあ。やっぱり行かねばダメかァ。全部にバッテンつけれたらいいのにな・・。」