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冬の蒼空

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除雪の手を休めて梢に目をやる。
これ以上無いほどに白くそして柔らかい雪が、いま落ちてきた澄み渡る碧空に手を伸ばしている。

北国の冬の青空がこんなにも透明で蒼いのは、緯度が高く気温が低いからだと何となく思われているがそれだけではない。
ゆっくりゆっくり舞い降りる無数の雪が、大気中の微細な塵や水分をその結晶の枝にくっつけ、空気を曇らせる全ての原因を取り除いてくれるのだ。
そのクリーンアップ効果は夏の雨でも同様なのだが、猛スピードで落下するのと、水分を蒸散させてそれを大気中に残しながらなので、寒い時の雪の結晶ほどではない。

「雪は天からの手紙」という中谷宇吉郎の残した言葉はあまりにも有名だが、これは地上に降る雪を観察すると、その結晶が生まれたはるか上空の気象条件が推測できたり、落ちてくる過程での様々な変化が読み取れるという意味を、ロマンの包装紙で上手に包んだものだ。
そういう視点で雪に触れるのもそれはそれで興味深いものがあるが、寒くて暗い北国の冬に、いっとき爽やかな青空を見せてくれる雪のプラスの効果を、いまこの空の下にいながらありがたいと思う。

写真を撮っているこのオニグルミの木の下では、エゾリスが身体よりも大きな尻尾を弓なりに持ち上げて、このうえなくしなやかに動き回りながら、晴れ間を利用して秋に隠した胡桃を探していた。

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