昨夜、帰宅しようと工房を出てすぐ、ヘッドランプの灯りの中心になにやら丸いかたまりが・・。 クルマを降りて近づくと、道路の真ん中にエゾタヌキが横たわっている。事故死だ!という直感はありつつも、後ろ向きの姿には悲惨な状況が見えず、フワフワの毛先は寝ているようにも見える。
「道路の真ん中で、そんな訳ゃ無いだろ」とツッコまれそうだが、タヌキの場合、そういうことが無くも無い。極度の緊張や恐怖に遭遇した場合、自ら仮死状態になってしまう場合がよくあるのだ。これをして「死んだ振りして人をだます」とか「タヌキ寝入り」と言う。
実際、接触した覚えはないのに、クルマの前を横切ったタヌキが道端で急に事切れてしまったことがある。その時は「可哀相に、轢いてしまった」と自分を責め、どこかに埋けてやろうと助手席の足元に横たえて走っていて、いきなりガブッと運転中の足に噛み付かれたのだ。死体だと思い込んでいたので、一瞬何が起きたのか理解できなかったが、後になって「タヌキに化かされた」とはこのことなのだと知ることになる。
前側に回り込むと、口元に小さな血溜りがあり、やはり輪禍死だったことが判った。
このまま道路の真ん中に放置はできない。道端の草藪の中にでも横たえてやろうと抱え上げたら意外なほど温かい。もともとイヌ科の動物の体温はヒトよりも高いのだが、それにしてもヌルめの風呂のような、熱っぽい子供に触れたような妙な温かさが残っている。
昼間ならともかく、暗くなってからこんな山道を通る車はほとんど無いというのに・・。
先月このブログでアライグマとタヌキのことを書いたように、このところタヌキの数が増えてきてはいるのだが、こういう場面に遭遇すると竹田津実先生の言葉が思い出される。
全ての野生動物にとって天敵よりも怖いのが人間なのだと。