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「白い花が好きだ」

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まわりの木や草が、もうみんな朝ごはん済ませて「さあやるか!」って時に、寝ぼすけのマメ科のエンジュやニセアカシアがやっと起きだしました。これから大あわてで準備して、2週間後には甘い蜜たっぷりの白い花を咲かせます。

大ぶりなのに決してハデではなく、木陰にひっそりと一叢咲いているユリ科のオオバナノエンレイソウ(写真)。この清楚で白い花は、アカシアが白く盛り上がる前に花弁を落とします。
その10日ほどのあいだ、ちょうど今は、バラ科のシウリザクラやナナカマドが「忘れないで」とでも言いたげに白い花房を渾身の力を込めて枝先から突き上げています。

<暦どおり>とはよく言いますが、人間の思惑など全く意に介さないかのように、<暦>は絶妙のバランスを保ちながら絶えることなくページをめくります。人間がもっと謙虚だった頃、人智の及ばないその自然の<力>は、どれほど頼りになり、心に安寧をもたらしたことでしょう。

新田次郎がその著書「白い花が好きだ」で書いたのは春一番のコブシの花ですが、サクラと一緒にコブシが散ってからも白い花が続き、ニリンソウ、ミズバショウ、キクザキイチゲ、エゾノコリンゴ、オオバナノエンレイソウ、ズミ、シウリザクラ、ニセアカシアと、足元に樹冠に白さが途切れることがありません。暑い夏を迎え、札幌岳の残雪が消える頃、平地ではオオウバユリの白い花弁が落ちて、初雪までのあいだその白い舞台を高山帯に移します。

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