やっと満1歳のルルだが、どうやらベビーができたようだ。このところ日に日にお腹が目立つようになり、目線もなにやら母親の優しさと鋭さをたくわえ、これまでとは少しだけ安全距離を保つようになった。
「まだまだ子供だと思っていたのにそんなにあわてて子供を作らなくても・・。」
「勝手に少女扱いしないで! アタシはもう大人よ。」
繁殖に寄与することこそ至上の使命とでも言いたそう。
誰の助けも借りずこれから一人で迎えるお産が待っているというのに、誇りさえ眼の奥に湛えながら不安な様子は微塵も無い。暫く佇んだあと、振り返りもせずにゆっくり巣の方へ戻っていった。