
大雪の影響は4月になってもまだ続き、例年の里山歳時記からしても半月はゆうに遅れていて、道路以外はまだ一面の雪景色。いつもの年なら今頃は口にしているはずの山菜たちもまだ暗い雪の下。週末の暴風雨で積雪はかなり減ったし、5月の半ばまでには暦の遅れに追いつくということを判ってもいる。それでも今はまだ、窓の向こうの景色のどこにも、はずむような春は見つからない。景色は冬のままだが、聞こえる音は春の騒がしさに変わってきた。明るい林に鳥たちが戻って来たのだ。毎年一番乗りのアオジのように、小さな体で遠くインドシナから戻って来たヤツもいれば、もの言わずジッと冬を耐えてきたゴジュウカラやシマエナガも元気な姿を見せ始めた。 見通しの良い森の中には、小さいけれど明るく張りのある小鳥たちの地鳴きが満ちている。恋の季節はまだまだなので、謳いあげるような囀りではないが、春を迎えた安堵と希望に声も膨らむ。 大きい鳥たちも黙ってはいない。ミヤマカケスたちがリャーリャーと鳴き交わせば、ピューイッ!ピューイ!とヒヨドリがはしゃぐ。この森でいちばん大きな声の主はクマゲラだ。毎年のように数が増え、何をするにも無頓着に大きな音を出