
何年か前に「国家の品格」という新書がミリオンセラーになった。 新田次郎氏と藤原ていさんのご子息の、作家でもない藤原正彦氏の講演録という意外性から手に取り、そして一気に読み終えたのを記憶している。 その新書は知人に廻したので、いま読み返すことはできないが、この時代を生きる我々がどこかに置き去った日本人の心根の潔さや、清貧の思想こそが世界に誇れる質の高さなのだと、改めてこの時代に正論を展開されていたように記憶する。このところの政治家達の振る舞いや言動にふれて、この「国家の品格」という言葉が哀しく脳髄にこだまする。 円安株高に調子付いて安倍さんが口にした一言が、近隣諸国の傷口に塩を擦り込んだ。 「我が内閣はどんな脅しにも屈しない」とは何に対しての言葉なのか。中国や韓国で反日感情が高まり、理不尽にも日系企業が焼き討ちにあったり、日章旗の焼き捨てや日本製品の不買が起きたりすることは確かにある。だがそれは一部の国民が暴発することで(政権批判をかわすための黙認との見方もあるにはあるが)、国家を代表する首相の発する言葉とは信じ難い。 「先の侵略戦争によってとりわけアジア諸国に・・」という村山談話や河野