この2週間は晴れの夏日が断続的に続き、初夏らしい気候のうちにライラックの花が終わり、代わってアカシアが純白の花房を垂らしはじめました。待てども進まぬ季節にいじめられた、あの雪解け後の日々の重さを吹き飛ばしてくれる、北国の生活者がいちばん待ち遠しかった6月の風です。先週は躍動と若さの<YOSAKOIソーランまつり>が、そして今週は北海道神宮祭(通称札幌まつり)で街もにぎわいました。 そんな2週間の間に、脚を傷めたルルは自分自身でケガを癒し、なんとか持ち応えることに成功しました。複雑骨折であれば患部が壊死するか、それとも餓死が先か、必然の結果がクールに待っていたのでしょうが、幸いそれほどでもなかったようです。 とはいっても、元どおりになるなる訳もなく、早足になるとピョコタンピョコタンと弾みますし、後ろから見ると悪い方の脚がヘンな角度に曲がったままです。 これまでに四回骨折し、二度は入院したものの、あとの2回は病院に行かずに我慢して治した自分としては、ルルを見ていてそれが特別なこととは思いませんが、初めの数日は唸らずにはいられないほどの痛さと高熱が出るのが常なので、薬も無いのによくそれに耐え
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ルル受難
去年の10月から続いていた知床峠の冬季通行止めが、この1日に8ヶ月ぶりの解除になった。昨日2日は、中山峠スキー場が営業を終えた。 さあ、これで春も終わり、短いけれど心の奥が沸き立つような夏が始まる。そんな歓喜の季節が始まったというのに、このタイミングでルルがケガをした。 この写真では目立たないが左の後脚を骨折しているようだ。四足で立つ時にはそっとその足を下ろすが、歩くときには後脚を引き上げてたたんだまま、ほかの3本の足でケンケンをするように飛び跳ねながら進む。そういえば先週からこのあたりに羆の気配があって、3日まえにもすぐそこの道路脇に洗面器一杯分の真っ黒いウンコが盛り上がっていた。まさかその羆に吠え付いて排除されたのか?いやいやヤツの爪に掛かったら血だらけになるし、骨折どころでは済まないはず・・。 んっ!鹿か?でかい角の牡鹿が最近この辺をウロついている。昨夜も右から左にすごいジャンプ力でボンネットを飛び越えて行った。あの角にかけられたらそういうことにもなるか・・。 それよりいちばん可能性の高いのはクルマとのアクシデントかもしれない。抱きかかえて動物病院にでも連れて行きたいが、彼女との
なじみのカラス
工房周辺をテリトリーにするハシブトガラスの夫婦がいる。 近くに走る送電線の2スパン分、150M間隔で建つ3本の鉄塔を中心線に置いた、直径300メートル位が彼等の縄張りだ。 オシドリならともかく、カラスも一旦つがいになったら一生添い遂げるものか、確かなことは調べてみないと判らない。だが、このカップルはもう5年目になるのに、ずっと連れ立ったままだ。子育ての為の巣を架ける場所は、鉄塔の上だったり尾根のカラマツの梢だったりと毎年変わるが、生活パターンと夫婦関係は何年経っても変わらない。真っ黒いだけのカラスの個体識別ができるのかとよく聞かれる。確かにたくさんのカラスを識別するのは困難だが、この常連夫婦だけはすぐに判る。ちょっと大柄で太い嘴の付け根に少しコブのような脹らみがあるヤツがオヤジで、すっきりした体型で頭も小さく、必ず一歩下がった位置にいる方が母さんだ。(写真は小さなカタツムリを咥えたこのメス) 普段はすぐ傍まで寄って来るくせに、カメラのレンズを見たらすぐに飛び去ってしまうから、なかなか写真には撮れないし、撮ってもただ真っ黒でぜんぜんフォトジェニックじゃ無いからその気にもならない。レンズ
子育て中のひと時
雪が消え、いっせいに草花が萌えだしてきた窓の向こうに、久しぶりにキツネのカップルがまどろんでいた。穏やかな日差しと、ゆっくり移動する春の空気を楽しみながら、子育ての疲れをいたわり合うように、ときどき緩慢な動きで愛撫を繰り返す。去年の今頃、ルルの乳首の周りは子供達の鋭いツメで毛が抜け落ち、血が滲み出していた。目つきも鋭くなって見るからにやつれ、人間なら髪振り乱してという様子だった。今年も下腹の毛は薄くなり、乳首が赤く膨らんではいるが、去年のような悲愴感は身に纏っていない。産んだ子たちに授乳させているのは間違いないが、どうしてこれほど穏やかなのか? 去年は初めての出産だったが、今年は経験と自信がそうさせる? それもあるかも知れないが、今年のオスが育児に協力的というのも一因ではないか。去年のオスは交尾期にチラッと見かけただけで、その後は一度も目に触れることが無かった。初産のうえに単独での子育てはさぞ大変だったろう。繁殖期のペアリング成立時からこれまで、ルルとショーンはいつも連れ立っていて、おそらく今は巣穴に残る子供たちの育児も協力し合っているのだろう。 もう少しして、子たちが巣から出歩くよう
かすみ桜
半月遅れでいっきに満開になったキタコブシやエゾヤマザクラに負けじと、艇庫の横のかすみ桜が八分咲きになった。 どれだけ待ちかねていたものか、例年ならコブシの花が終わってからモジモジと咲きはじめるというのに・・。20年前、花材屋さんで捨てられる運命だったこの桜。太目の指くらいの幹に葉っぱが数枚でヒゲ根も少なく、ダメもとでもらって植えた3本のうちの1本だ。他の2本はネズミに齧られ雪に折られて、花をつけることなく絶えていったが、コイツだけは今では80センチを超える幹周りで、よじ登れるほど大きくなった。苗として売られていたくらいだから、もともとこの桜は北海道に自生するものではない。 エゾヤマザクラのエネルギッシュさは無いし、同じ移入種のソメイヨシノの豪華さも無いが、「かすみ桜」の名に似合った奥ゆかしさながら、それでも一年がまた始まる喜びを静かな興奮で必死に伝えようとしている。 悪天と寒さで春が遅かったせいか、里山の春を一番最初に教えてくれる足元の花達に元気がない。青から紫のエゾエンゴサクや紅いカタクリ、キクザキイチゲの白やフクジュソウの黄金色。スプリングエフェメラル=春の妖精と呼ばれるこれらの花