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近くて遠い歴史遺産

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この二十数年、毎日のように<旧簾舞通行屋>という市指定の有形文化財の前を通り過ぎてきました。 江戸から明治に時代が変わった頃、本願寺の普請で札幌から太平洋側の噴火湾を結ぶ通称本願寺道路(後の有珠新道)が開通しました。羆や狼が跋扈し万古𨨞を知らぬ原生林を、人の手だけで百数十キロ、馬が通れる幅の道を開削することがどれだけ難儀なことかは想像に余りあります。 何度か改築されているようですが、元の建物は明治五年にこの道路の駅逓として設けられました。 北海道ではこんな和風な建築物を目にすることがあまり無く、道路沿いに現れる、時代を遡ったかのような景色に、それと知らなかった人はエキゾチシズムさえ感じるようです。 当主の黒岩家ご家族は別棟にお住まいで、現在この建物は資料館として開闢以来の史料や道具などが展示されています。いちど昼間に時間を作ってじっくり見学してみたいと常々思いつつ、通りかかる度に「またそのうちに」と言い訳してしまう自分です。紅い葉っぱは潔い・・。 画像は先週のものですが、昨夜からの雪でこの画面左手の紅葉はいっぺんに無くなってしまいました。山肌も赤みが失せ、ナラやカシワの

雪虫

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13日の夜、街なかでは冷たい秋の雨でしたが、翌朝の工房周辺ではあたりが白くなっていて、この日がやや早めの初雪ということになりました。 大気の冷え込みに対して木々の紅葉は遅れ気味で、緑色と黄色とがせめぎあっていますが、冬の気配はすぐそこまで近づいています。ここ2日ほどは気持ちの良い晴天で、本当は11月に現れる小春日和のことをいうインディアンサマーのようです。急な冷え込みと入れ替わりの暖気に雪虫たちも今朝は大慌て。まるで降り込める粉雪のように行く手に立ちこめています。たまたまクルマに積んであった標準レンズのカメラでは上手くとれませんが、煙のように霞む前方が判るでしょうか。 ゆっくり走っていてもフロントガラスはメリケン粉を振りかけられたように真っ白です。 わずか数ミリの雪虫ですが、雪を告げる使者としてこの北国ではあまりにも有名で、トドノネオオワタムシという本名なんか知らない人でも、条件反射で冬がそこまで来ていることを悟るのです。 そんな雰囲気に急かされるように、リャーリャーと梢でカケス達が鳴き交わし、エゾリスもいつになく速い動きで走り廻っています。陽が陰ってからの里山は急速に冷え込み、夏に

南極の道具

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「観測船そうや」が北氷洋の調査で使う氷厚測定器のケースを春に修理しましたが、今度は「南極観測船しらせ」の備品で、同じ物の修理依頼がありました。前後に4M以上もあるアンテナをすっぽり覆って雪氷や海水から守る、そのケースの袖の部分が大破してしまっています。 画像は正常に使われている時の様子で、海氷も穏やかに見えますが、3年ぶりに昭和基地の近くまで辿り着けたという昨夏(1月)も、やはりかなりの悪条件だったようです。大型になった新造船しらせでも、6メートルの厚さの海氷を壊しながら進む作業は困難を極めるらしく、前進後退を繰り返し、厚い氷に乗り上げて自重で壊すか、それでもダメな時はダイナマイトの使用を余儀なくされたとのこと。 氷に突進したときにうまく割れてくれれば問題ないのでしょうが、割れなかった時が大変で、乗り上げた状態でビルのような船が数十度も傾くのだそうで、ケースの破損もそうやって吊られた状態から海氷に叩き付けられたといいます。重量さえ気にしなければ、そのくらいの衝撃に耐えるものを作るのは可能です。しかし測定値に影響が生じるので一切の金属類は使えないこと、また、解体してコンパクトに納まること

試漕

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春から仕事の隙を縫って型を起していた新しいカヤックが完成し、色々なテストをするために洞爺湖に出かけてきました。同じような手漕ぎの小舟でも、これまで作って来たツーリング用のカヤックと違って、いわゆるレクリエーショナルカヤックというやつで、求められる条件が全く異なります。 速く進む必要は無い代わり、ファミリーや釣り目的の人が安心して漕げることが最優先。それならそれで思いきり遊びに徹してと、計画段階からつぎつぎと幅広い要素を取り込み、様々なオプショナルパーツを組み合わせることで10通り以上の用途に対応する、これまでにないカヤックになりました。 画像は、キッズシートを取り付けて2人+子供のオープンカヤックですが、フィッシングやセイリングギアとしてそれぞれ1人用2人用に組み替えられる、多用途とかコンポーネントとでも頭に付けたいレクカヤックの誕生です。こんなことに没頭しているあいだに季節は走り過ぎ、道内各地から雪の便りが届くようになりました。 冬が来ます。寒気や積雪に負けないための準備を始めなければなりません。

十勝・行き当たりばったり

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急に思いついて、カミさんと二人+犬で十勝方面に出かけてきました。 いや、とくに計画していた訳ではありません。十勝に行こうかというのさえ出発の1時間前、朝の情報番組を見ていて何となくそうなったというだけのこと。 あちこちの道の駅などに立ち寄りながら、ぶらっと向ったのがTVで知った新得町のレストラン。「森の中の赤い屋根のログハウス」って、あまりにも決まり過ぎでオイオイという感じでしたが、まあまあのお味のソバのガレットにいちおう満足。途中、新得の町で見かけた「新得そば祭り」の看板は、明日の開催を知らせていました。 さあ、明日の昼までどうやって過ごす? またまた無計画に走り始めて(ほんとは懐かしい思い出の場所や行ったことのない景色を見せてやりたかったんですけどね)鹿追から然別湖、幌鹿峠を越えて糠平湖、そしてゴーストタウンの十勝三又から三国峠へ。 山の上ではもう初雪という情報があったのに、結構な標高ながらここではまだ紅葉がいまひとつ。 それではと山を下りて、四半世紀前からこちらに来れば立ち寄る帯広のなじみのレストランを目指すも、「本日貸し切り」でアウト! まあ無計画なんだからこんなもんでしょ。