「お〜い、いだがア!(居るかい)」 造園屋のSさんが、額の汗をぬぐいながらいつものトラックではなく乗用車から降りてきた。 「いるよ、どうした?・・暑そうだなあ。」 「アヂイのもアヂーけどよ、いやいやワヤだ。JKよJK。わがんねえってか?女子高生だべや。」 「ああそれか。あんたの口からそんなの出てくるとは思わなかったなあ。んで・・?」 「今よ、下のコンビニから出たとこでよ、4〜5人いた女子高生が俺の顔見てみんなで大笑いよ。何となく聞こえたのよな、『このハゲー!』ってな。そん中の一人のコをみんなで囲んで『やめなア、真由子様』って言いながらまた大笑いよ。冗談じゃねえっつんだ。男だったらブッくらわすとこだ。」 「へえ、時事ネタで笑えるとはまんざらノーテンキなだけでもなさそうだな。」 「JKも腹立つけどよ、政治家アもっとヒドいよな。THIS is Aべなんとかだべ。バカばっかりでよ。どうなるんだこの国は。」 「安倍一強体勢は盤石だと誰もが思ってるけど、驕れる平家の様相を呈しはじめたな。あまりに不誠実あまりに姑息な態度がみんなの気にさわっていることに気付かないのか、それともトボケきる自信があるのか
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南極から
日本と南極の昭和基地を結び付けている<しらせ>に搭載されたEM(氷厚測定器)の防水ケースが、国立極地研究所を経由して戻って来た。奴凧のように前後に長く突き出した送受信部を、結氷や衝撃から守る袖のようなカバーの基部が割れた。 壊れた状況や原因は判らないが、基部に欠損が認められるので、斜め上から衝撃が加えられたようだ。 このままでも使えないことはないが、このザクザクに毛羽立った部分に着いた水分が凍りつきだしたら、場合によっては巨大な氷塊にならないとも限らない。この上下のパーツを作り替えることにしよう。自分では絶対に行けない場所で、自分が作った道具が使われている。 こうやって修理に戻って来た現物を見ると、想像と知見を注ぎ込んで作ったつもりでも、想い至らぬ原因で壊れることを示してくれるし、完璧とは決して云えない未熟さをもの言わず突き付けてくる。誰も作っていないものは、それゆえに満足できる一線を見つけにくい。改良点は際限なく出てくる。
オトナの事情
居酒屋での会話 「あれ、コリーだったかコミーだったか、トランプにクビにされた元FBI長官の証言、見ました?いやあ、なんだか民主主義の健全さを見てるようで気持ちいいっすよね。傲慢なワンマン経営者を大統領に選んでしまったけど、与党も一緒になってダメなものはダメってあの国の政治が示してるじゃないすか。」「う〜ん、ありゃドラマだな。このあとロシアゲートがどう展開するか予想ができないってとこがな。ウオーターゲートのニクソンのようになるか、それともトランプが逃げ切るかだけど、強引さだけでは余計に墓穴を掘りそうだよな。」「トランプになってから傲慢さや利己主義ばっかり目立つけど、いやいやどうして、あの国の根っこにはジャステイスやフェアネスってもんがしっかり生きてるってことじゃないすか。それに較べて我が国の政治風土の情けないこと。都合の悪い証人喚問なんか与党がグルになって、身内をかくまうように否決して一件落着ですよ!」「ああ、加計文書か? まあ、確かにみっともないけど、何とか乗り切るべ。」「いやいや、あんな文書があったかどうかなんてどうでもいいっすよ。あったに決まってるけど。ありゃ誰がどう考えたって、安
全層雪崩
晴れた朝の通勤時にはいつも視線の先にあり、四季折々に移り変わる姿を楽しませてくれる<無意根山>ですが、今年は例年と違って大きな全層雪崩が発生したようです。東に向かって切れ堕ちたこの斜面は、長い間に地滑りと浸食で削られた地形ということですが、東壁と呼びたくなるほど上部が急傾斜で、過去には北大生らの滑落事故なども発生して慰霊碑も建てられています。 画像右手の白い雪面の下には直線的に稜線に向かう登山道があり、喘ぎながらの登りと、意に逆らって駆け下ってしまうまるでジャンプ台のようなこの道を、旧くはシャンツエと呼んでいました。この稜線の向こう側、つまり西側は切れ落ちることなくおだやかな曲線でゆっくり立ち上がっていることから、冬には日本海から運ばれて来た大量の雪が、この壁の上部に巨大な雪庇を形成します。近くで見る雪庇はひさしというにはあまりに大きく、まるでビルが崖の上にせり出したようで、覗き込んでも下を見ることはできません。 毎年3月から5月にかけてこの巨大な雪庇が崩落し、筋状の雪崩跡を黒く見せてくれるのですが、下界から見る今年の景色は少し違います。画面中央の雪崩跡の上部が黒々と見えている部分は密