見らさる・・・若い人や道民以外には伝わらないだろうが、うまく説明し難いニュアンスを含んだ便利な北海道の方言である。
意思に反して見てしまうとか、さして見たい訳ではないが強制的に見せられる、といった強い反意語ではない。「見るつもりはないけど誘惑に負けてなんとなく見続けてしまう」という程度の、行動の背後にある曖昧な雰囲気を上手に丸めて収めた、慣れるとつい使ってしまう北海道弁だ。
「内臓脂肪を気にしてるのについ箸が出て食べらさる」「気分がいいとどうしてもとことん呑まさるべや」「禁煙してるのに誰もいないところだとやっぱりつい吸わさるんだわ」「夏休みも残り僅かになったのに宿題に手が付かず、夜遅くまでTVゲームで遊ばさる」といった感じで、人によってはこれを多用する。
先月24日にプーチンのロシアがウクライナに侵攻してから、昼となく夜となくおぞましい爆撃の状況が伝えられる。国連の臨時総会でもNOを表明した141か国をはじめ、棄権した35か国であっても、ロシアやベラルーシ以外、プーチンに正義があるという国はない。ロシアの国内にあっても報道統制が敷かれ、戦争反対のデモ参加者が13000人も逮捕され、かつてない経済制裁が発動されたというのに全く世界の声を無視し続ける。殿ご乱心である。裸の王様に進言する者もない。冷徹な皇帝として、気に入らない者は国境など関係なく毒を盛ったり射殺して消してきた。22年間の独裁で、世界を敵に回しても欲しいものは力で盗れるという夢に溺れているいるかのよう。
SNSの動画を交え、絶え間ない報道はいやでも関心を刺激される。そう、ちょっとした時間でも状況が気に掛かり、テレビのリモコンについ手が伸びてニュースやワイドショウを見らさるのだ。
想い返すと、TVの前でこうした時間を過ごしたことが何度もある。古くは浅間山荘事件、チェルノブイリ原発事故、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、東日本大震災、フクシマ原発事故、それから、フセインが核兵器を持っていると世界を騙して、クラスター爆弾や劣化ウラン弾を花火のようにイラクに降らせたブッシュのアメリカだ。