元旦からもう半月が過ぎたが、降り続く雪に除雪の手を休めない。自宅と仕事場の両方で除雪機を動かさなかったのは二日もあったろうか。
昨日は腰上ほどの屋根の雪を、助っ人のHと一緒にほとんど下ろしたし、今日もやっぱりクルマの上の雪を下ろし、昼前まで工房周辺の除雪に掛かってしまった。
熱いコーヒーをすすりながらPCを開けてメールのチェックをしている時のこと、床下から微かな音と何かが動く気配。ネズミや鳥が立てる音にしてはやや大きめ。でもまあよくあること。数秒で関心は薄まり、コーヒーのカップを口に戻し、何とはなしに窓の外を見やる。
「・・・!ん?、何だ?」 床下から子ダヌキが這い出してきて道路の方にひょこひょこと歩いて行く。この時期に見慣れたタヌキはふかふかの冬毛でからだがまるく見えるくらいだが、この子は夏毛のように痩せている。疥癬にでも罹っているのだろうか。
あの動きならまだ間に合うだろうとカメラを掴んでおもてに出てみると、意外にワダチの雪道を100メートル近く進んでいた。この距離では写真にならないと諦めて見送る。何か声を出した訳ではないのにこちらの立ち姿を認めて立ち止まると、速足で逃げるどころかこちらに向かってトコトコ歩いてくる。1メートルちょっとの位置まで来てやっと歩みを止めた。犬ならば手を伸ばして頭を撫でてやりたくなる距離だ。
こんな昼間にひとりで出歩いちゃダメじゃないか、親や兄弟はどうした?
両側が高い雪の壁の一本道、もしクルマが来たら轢かれてしまうし、一面の雪の中では動く黒い点としてあまりに目立つからカラスや猛禽に狙われる。
夏なら容易に見つかるミミズや虫は深い雪の下。雪が解けて土が顔を出すまであと三月。ひもじいだろうが頑張れよ!