昨秋(2017年9月6日記)逢った親子のヒグマにまた会えた。
昨日の夕方、といってもまだ陽は高く、新緑を透過した木洩れ陽がところどころで道路に光りのモザイクを作っていた。
道路の左肩に母熊が腰を下ろし、その横のさして広くない路上で、それこそ相撲でもとっているかのように2頭の子グマが取っ組み合って遊んでいる。
数十メートル手前でこちらが気付くのとほぼ同時に母熊が頭を上げてこちらを見た。
しずかにクルマを停めると、ゆっくり立ち上がり、昨年見たのと同じように肩の金毛を波打たせながら、子グマ達をうながして前方に歩きはじめた。
昨年逢ったときに2頭の子グマは体長50〜60センチでコロコロと丸くなって走っていたが、いまでは体長も1メートル近くなって、すっかり若グマの体型に成長している。
ヒグマが一腹で2頭の子を産むのはそれほど珍しいことではないようだが、こうして冬を越して、大きくなった2頭の子を無事にここまで育んだ母熊の苦労はいかばかりか。
一定の距離を保ちながら、ゆっくりゆっくりお互いに前進し、やがて左手に現れるむかし畑だった草むらに、幾すじかの踏み分けを残して消えて行った。
この秋には子別れのときを迎える。こうしてこの親子に出会うことはもう無いだろう。
再び逢えてほんのり嬉しい気持ちになったのと同時に、これから先、人を畏れ、人里に近寄らず、人の手に掛かることなく生を全うしてくれることを祈ろうと思う。