アオラキ=マウントクックは今回も青空のもとで秀麗な姿を見せてくれた。
<マウントクックの風>という表題と、画像の澄み渡った景観からは、爽やかで気持ち良いそよ風を連想される方が多いだろう。いや、この画像が撮られた時はまさにそうだったのだが・・。
登山口にある200台ほどのキャンパーが泊まれるキャンプ場がこの日の宿泊予定地だった。夕食を済ませ、氷河の氷でオンザロックを楽しみ、みんなが寝静まった夜半にとつぜん状況が変わった。
4トンロングのトラックほどあるキャンパーが、まるでゴジラにでも蹴飛ばされたようなド〜ンという衝撃とともに大きく揺れた。屋根や窓に当たる石つぶてのバラバラバラという弾ける音で、それが強風の仕業だと判る。
高度差2千メートルほどの、氷河を戴く山々に囲まれたキャンプ指定地だ。はるか山上の氷や砂利を、吹き下ろす強風がここまで運んで叩きつけるというのか。
強風と石つぶては、朝になって周囲が明るくなるまで不規則なリズムで間断なく続いた。
モーターホームでさえこれだけの衝撃なのだから、テントで寝ているソロキャンパーがどれだけ怖い思いをしたのか想像に難くない。
朝を待ちきれずに薄明かりの中、テントから人が出てきた瞬間にそのテントが荷物ごと吹き飛ばされ、灌木や石原の上をどこまでも転がっていく様は今でもはっきり想い出せる。
マウントクックはそろそろ雪の季節を迎えるが、ここ北海道は寒さも緩んで雪解けが進み始めた。
さあ、今週いっぱいで雪割りを終わらせて、カヤック作りに本腰を入れるとするか。