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やっぱり<夢街道>

久しぶりに腹いっぱい長距離を走って、40年以上も昔のトラックを転がしていた頃を想い出した。
東名と名神はつながっていたが、そのほかの高速は完成を見るまでにもうしばらく時間を要していた頃だ。
もちろん東北道も常磐道も形になっていないから、札幌から函館まで5号線を行き、青森でフェリーを降りたら東京まで4号線か6号線に乗り、寝ずに走ってもまる1日以上を要していた。
昼間の国道は混むからもっぱら夜中に走る。景色なんか見えるわけも無い。ひたすら道路の白線を追い、交通標識にちょっとだけ目をやってやりすごす。
そんな暗闇を照らすヘッドライトといつも一緒だったのは、ラジオから聞こえてくる深夜放送の演歌や歌謡曲だ。ふだんはR&BやRockしか聞いていなかったし、実際にヘッ演歌なんてと馬鹿にしていたが、田舎の夜道で気の利いたFMなんかはいる訳がない。そんな夜中の運転以外ではゼッタイに聞くことがないど演歌だったが、無遠慮に頭の奥に滲み込んできたものだった。

今回は夜中に走るようなこともあまりなく、日本中に張り巡らされた高速道を無機的に走ることが多かった。
快適なドライブにはやっぱり<イージーライダー>の挿入歌がよく似合う。例えばCCRやステッペンウルフのような疾走感がうれしいだろう、いや少し落ち着いたクラプトンなんかも泣けるかも・・。
そう思って持って行ったCDはなぜかほとんど聞かなかった。

ハンドルを握り続けているうちに出て来た鼻歌は、北島三郎、八代亜紀、鳥羽一郎。やっぱり演歌だった。

口には出さないがつい何度もモゴモゴと鼻腔の奥で唄ってしまったのは、山本譲二のあの唄。昭和30年代のチャンバラ映画を思わせる軽快なイントロが、自然に指先で調子を取らせる。

〜少し太めのワッパを抱いて、男度胸のころがし稼業
〜みやげは無事故でいいのよと、云ったあいつの面影が
〜浮かぶ夜明けの 東海道。

やっぱり長時間運転にはなぜか<夢街道>がイイ。

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