底意地の悪いフェイントだったのか、二度ほど白い物をちらつかせた冬は気まぐれに姿を隠し、初秋のやわらかな暖かさが戻ってきました。
騙されて開花したのは、北海道の山野に自生し、春いちばん、コブシやレンギョウやもちろん桜よりも早く春の到来を告げる庭のエゾムラサキツツジ。
気の早い性分なのか、毎年一輪や二輪の狂い咲きは見掛けるものですが、まだこれから枯葉を落とすというのに、ざっと30もの花が慌てて開いてしまいました。
数日後には寒気で凍りつき、しおれて落ちる予感があるのでしょうか。こころなしか、薄紫色の花弁には春咲く時のみなぎる嬉しさがありません。