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9月19日

「やったぞ、やった!安保関連法案はついに成立だ。憲法なんか変えなくたって、ちょっと頭を働かせて数字を使えばこの通り。わが陣営の議席数、200時間超の審議時間に60日ルール。もうこれで当分は答弁で冷や汗をかくこともないし、外で騒いでいるバカ共も少しは静かになるだろう。思えば春に米議会で約束を口にしてから5ヶ月間、判決文をねじ曲げ、学者や法曹界の違憲の意見を封殺し、根拠の無い危機感を煽り、テキトーに作った具体例を押し通し、苦労して党内や野党の反対勢力を押さえ込んだ甲斐があった。正しい決断は時間を掛けりゃいいってもんじゃない。いまこのタイミングでの一気呵成が成功のもとだ。これで正式に悲願だった米軍との軍事同盟が果たせたし、来週は大手を振ってアメリカ詣でが出来るってもんだ。」

姑息で傲慢な、この国のトップとその取り巻きが、国際情勢の変化を理由に我が国のかたちを変えてしまった。
去年の暮れに小選挙区制度を生かして自民党が大量の議席を取った際の争点は消費税一色で、集団的自衛権などはまだ覆いが被せられた状態だったというのに、4月中頃から急に鎌首を持ち上げ始め、湧き上がる憲法違反の声を無視しながら、思惑通りの行程で押し通し、理念も制約も曖昧な法律を11本まとめて成立させた。その11本のせめて名前だけでも言える自民党議員が何人いるのか。
いくら与党が過半数だといっても正攻法で憲法改正なんてそう簡単に出来る訳が無いと読むと、全く合理性のない解釈変更を持ち出し、なり振り構わぬ横暴さで突き進んだ。特定秘密保護法や武器禁輸解除とセットで、今後は時の政権の意思ひとつで参戦できるようになる。
それが理念だとしたら、リーダーたるものその考えを誠実に説き示すべきではないのか。破綻したロジックを恥ずかしげも無く繰り返し、欺き、誤魔化し、無視するその手法と姿に多くの国民が失望を味わっている。
『男は強くなければ優しくなれない。優しくなければ生きて行く価値がない。』という昔あったCMを、安倍さんは覚えているだろうか。

「これでやっと日本もフツーの国になった。」という。そしてそれを喜ばしいことと考える人もいる。
だが、このドタバタ騒ぎの中で、確実に失われたものがある。
この国の国家としての品格、そして政治家たちの品位だ。残念だが、それは容易には取り戻せない。

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