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毎朝の山

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この二十数年間、毎朝、仕事へ向うフロントガラスの先にこの山を見てきました。いや、改めて振り返ってみると、確実に前方にあったのに目で見てははいない時もあったように思います。それほど当たりまえの風景として意識を引きつけなかったのでしょうか。

この画像は、工房へ向う道を通り過ぎてもう少し先に進んだところから撮ったもので、いわば正面からみた黒々と雪の着かない山頂を持つ<八剣山>です。
今ではどの地図にもそう表記されて、山好きの人達や札幌南部の住人にはよく知られた八剣山ですが、昔は五剣山と呼ばれており、更に古い5万分の1地形図には古名の観音岩山と書き込まれています。周囲の山と較べても決して高い訳ではありません。むしろ5百メートルの標高自体は周りの山々よりもかなり低く、この特徴的な山頂部の岩稜がなければ、おそらく名前さえ付けられることも無かったでしょう。

実はこの山をずっと通り越した視線の先に、純白でたおやかな1464Mの無意根山があるのです。9月の初雪から残雪輝く7月まで、晴れた日にはどうしても真っ白くなだらかな稜線に視線を絡めとられます。

そんなわけで、普段はあまり目を引くことのない八剣山ですが、錦秋の頃の山肌はそれはみごとに彩られます。わずか1週間ほどのあいだではありますが、南に向いた斜面を低い角度から秋分過ぎの陽光が覆うとき、狩野派の錦絵にも負けない輝きに満たされることを私は知っています。

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