「オーゥ、しばらく!! 元気してたか?」
去年まで農家だったYさんが、いつものように突然しゃべりながら入ってきた。
「アベノミクスだかハゲノミクスだか知らんけどよ、またセンキョっちゅうんでないか。いい加減にすれっちゅうのよな。今だら負ける気しないからって、なんもかんも御破算にしたいんだべ。ジーデーピーはマイナスだしよ、女の大臣はインチキがバレて辞めるし、北朝鮮にはどうせまた遊ばれるし、この先シンゾー君にはいいこと一つも無いさな。まあここらで選挙に勝って仕切り直しすれば、またしばらくは安泰だっちゅう計算なんだべ。」
(おお、上から目線で悪いけど、結構ちゃんと見てるじゃないの。)
「親方が儲かったら子方も銭コ貰えるとか言うけどよ、オラなんかさっぱりまわってこねえって!金持ちばっかりいいおもいしてるんだべ。第3の矢はどうなってんのよ。ホントにあるんだべな、無かったらペテン師だど。」
「オレら農家は昔からなんだかんだいってもずーっと自民党だったんだ。だけどもう入れるヤツなんかいねえど。テーピーピーでも百姓ばいいだけ馬鹿にしやがるしよ。エラい思いして土ばいじってんのがアホくさくなるでや。知り合いにガッカイがいてよ、うるさくいうからさっきテキトーにうんうん言っては来たんだけどよ、それもなんか自分ば安売りするみたいでな。ちょっとあんたにほんとんとこ聞いとくべって思ってよ・・。」
「う〜ん、ホントんとこかい。まあ安倍さんの言うことをよーく聞いてりゃ見えてくるさ。何を話して、その逆に何を話さないかってとこかな。アベノミクス、アベノミクスって大きな声で繰り返すのは、裏返せば自身が無い証拠だし、人間つごうの悪いことには触れたくないから、ウソだらけの原発政策もそうだし、勝手に決めてしまった自衛隊の海外派遣や武器を売って儲けることなんて、ぜんぜんしゃべんないだろ。小泉さんの弟子だからしょうがないけど、郵政解散に倣って“アベノミクスを続けるかどうか”のワンイッシューで勝つつもりさ。株高や円安でいい思いをしてる人もいるし、説得力のある対案を打ち出す野党もないから、ここで勝っとけばあとは楽々やりたいことが出来ると思ってるさ。経済成長ばっかりスローガンにするけど、生産と消費のバランスをみれば、この先ウン十年は年寄りが増えて働き手が減るんだからどう考えたって赤字になる。でもそんなホントのことをしゃべってもウケないから誰も言わない。」
「んだナ。どうせ落ち目ならジタバタしねえでオラもきっちり死んでくべ! じゃましたな。」