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都は弥生

f:id:norlite_designs:20130309093220j:image:w360:left<都ぞ弥生>なら有名な北大の寮歌だけど、”都は”って何よ、”は”って? んっ? いーんです。昔から勝手にそう思ってるんです。

所用で東京に行ってきました。
車で立ち寄るときは、用事さえ済めばなるべく早く都内から出るのですが、飛行機で行ったときはそうはいきません。Suicaの便利さに改めて感心しつつ、地下鉄からJR、私鉄から私鉄と無表情を装って乗り継いでいても、なんかやっぱり息苦しいんです。
浦島太郎といわれるように、古くから変わっていない地名と、道路や鉄道の方向こそは覚えていても、全く見覚えの無い景色ばかり。「あれがあったのはここだ。絶対に間違い無い!」と自分に言い聞かせても、ときどき自信の持てないちっちゃい自分が柱の陰から半分顔を出す。
ウン十年ぶりに訪ねる土地は懐かしくもあるけど、一日中人・人・人のなかにいるとこれが結構疲れます。
慣れてしまえば他人なんて空気のようなものだし、誰も自分の事なんて気にしちゃいないってことぐらい分かってます。実際、電車のドアにくっついて立ってるヨソもんのオッサンなんか誰も見ちゃいません。だって座席に並んだ6人が全員下向いてずーっとスマホいじってましたからァ。
でも、山の工房で動物たちと声の無い会話をしているような、いつもの生活にはゼッタイに無い、他人との距離感が苦手なんです。東京へ来るたびに、たった1日留守しただけの山の工房へすぐに帰りたくなるんです。
そこら中に人間の体温が充満してても、乾いたビル風に吹かれて歩く冬は寒いし、かといって飛行機を降りた瞬間にベターッと貼りついて来る湿度120%の夏の熱気も、「テメー離れろ!さわんじゃねェ!」と叫びたいくらい許せない。
そんな風に、懐かしくて想い出多き東京だけど、ふだんはできるだけ行きたくないんです。
でも、悔しいけど、弥生3月の東京は違います。この時期に行くといつもちょっとだけ「いーよなァ」って思ってしまうんです。
雪解けで道路両側の雪山は真っ黒け、白線は削れてしまってどこがなにやら。凍った土が融けて歩くとズブズブ。白いとはいいにくい残雪と枯野だけの水墨画のような景色。コブシやサクラが見れるのはずーっと先の5月を待って・・。
そんなときの東京は、梅や水仙の花が咲き、どこかから沈丁花の香り漂い、道路の白線や歩道の縁石がやけにきれいに見えるんです。

昨日の昼前に<府中の森公園>で満開の梅(写真)を見たあと、札幌に戻ってきました。
シャツ1枚でも汗まみれになる20℃の東京から戻ってくると、こっちは暴風雪でマイナス7℃の白い世界。例年の2倍の積雪は67年ぶりとか・・。 雪解けさえも始まってませんからァ。

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