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鉱石ラジオ

鉱石ラジオを知ってますか? そう、イヤホンで一人で聞くヤツ・・っといえば、若い人ならスマホ?もうちょっと年長者ならウォークマンでも連想するんでしょうか。 でも、電池も要らないんです。・・そんなのある訳ないと思うでしょ。電気がないのにどうして音が出るのか、そのメカニズムは別の機会に譲るとして。
あったんです! そのむかし・・。(今でもあると思うけど)

<シャープ>の大規模なリストラのニュースが話題になっています。
「亀山モデル」の液晶TVをあれほど売りまくったのに、税金無駄使いのエコポイント制度が終わり、地デジに切り替わってしまうと、1万人単位の従業員がお払い箱だそうです。そのニュースに関連して<シャープ>の社歴をラジオで紹介していました。
その社名にまでなったシャープペンシルを大正時代に売り出すとこれが大当たり。続いて家庭用の鉱石ラジオ、それからテレビジョンと、世に出すものが次々とヒットして今に至ったとか・・。

それを聞いていて思い出したんです、鉱石ラジオを。
後に普及した真空管式ラジオやトランジスターラジオよりも前の、昭和初期に一世を風靡したらしい音声を電気的に増幅させる大型の物ではなくて、その後に流行した個人用の小さいヤツです。

あれは東京オリンピックよりもずっと前。各家庭にTVが普及するよりも昔のこと。どこの家にもみんなの集まる居間や床の間は、真空管のラジオが置いてあって、夕方5時になると子供達は「赤胴鈴之介」を、食事が終わった頃には大人達が「君の名は」を無言で聞き入っていたものでした。

自分のラジオを手に入れたのはその頃です。月々のお小遣いを貯めたものか、それともお年玉ででも買ったのでしょうか、たしか300円程だったように思います。文具屋のウインドにいろんな模型と一緒に並んでいて、いつもガラスに頭を押し付けて見ていた組立キットです。
4枚の羽を下にして立上がった20cmほどのロケット型で、下の噴射口から出したコードのイヤホンを耳にあて、尖った先端をゆっくり回すと波長が合ったところで、耳の奥にかすかなラジオの音が聞こえてきます。雑音混じりの小さな音でしたが、ちょっとだけ科学を知ったような、自分だけの世界を手に入れたような、そんな、ちょっぴり誰かに自慢したい気持ちになったものでした。

通勤途中にラジオを聞いていて思い出した、昔のラジオの話でした。

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