オホーツク方面への行きがけに、旭川で<就実の丘>へ寄ってみた。
就実とは地名なのか?いやいや、入植者が夢や理想を込めてその地につける北海道の地名として多いのは共成とか豊岡だろう。しっくりこないのでググってみると、やっぱり地名ではなかった。明治33年に香川県から3名がこの地に入植し、苦労の末に仲間や子孫も増えたのだろう大正3年に<就実青年会>を立ち上げたという。
地元の写真家の注力や”安全地帯”のPVなどで10年ほど前から知られるようになった場所だということらしいが、その場所であることを示す看板が一つあるだけで、いわゆる観光地らしい施設は全く無い。
機械の力で山を削り谷を埋めた近くの旭川空港とは対照的に、あるがままの高低差を受け入れて開墾のクワを振るった、昔日の汗と涙が開いた土地を覆っている。北海道によくある真っ直ぐな道路は、高低差や地質などを無視して机上で引かれた「基線」というヤツで、ここでも例外ではなく駆け落ちるような急坂や喘ぐ登りがその基線となっている。昇り下りを繰り返して地平に消え去るその基線を、いま我々は<ジェットコースターの道>と名付けてスマホのレンズを向ける。
農地への立ち入りや踏み荒らしが問題になっている美瑛の丘がほど近い。駐車スペースやトイレもないこの場所に観光バスなどが入ってくるような日が来ませんように。