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一瞬の秋

確かにひと月前までTシャツで間に合う夏でした。

バタバタと暮らしに追われながら雪虫の浮かぶのを見、道端で栗を拾い、山や峠の雪をニュースで見ているうちに、天気予報では来週あたりが雪マーク。ほとんどの木は葉を落として急に山が明るくなりました。北国の生活者にとって「夏と冬の間は秋」という漠然とした観念こそあるものの、冬に向かっていっきに駆け下るようなこの季節は、立ち止まってゆっくり季節を味わえるような優しい時間ではありません。

工房のまわりの全ての生き物はやがて来る冬に備えようと真剣です。親と別れたヒグマは、見つけたコクワの蔓によじ登って甘くなった実を食べ尽くす勢いです。交尾期を迎えた雄鹿は、たまらなく哀切な声を張り上げて雌にアピールしています。エゾリスは走り回り、カケスはうるさく鳴くのも忘れて貯食に余念がありません。

それにしても今年はカメムシの発生数が異常です。めずらしく昨年から2年連続で茶色いクサギカメムシが大発生。しかも去年の6倍という数が原因か、同じような場所で冬籠りする他のカメムシやテントウムシを今年はまったく見かけません。9月の末から冬眠場所を探して猛烈に飛び回っていましたが、今月半ばにはそれぞれが場所を見つけて潜り込んだようです。

車のドアのモールの溝、積んだ材料の隙間、サッシのレールの間など至る所に潜り込んでいて閉口します。写真はカヤックのコクピットカバーをはずしたところ。でもこんな状態なんか可愛いものです。あまりにおぞましいので掲載はやめましたが、畳んだ段ボールを開いたら数百匹が下が見えないほど真っ黒になって重なっていました。

 

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