ゆっくりですが確実に衰える身体を騙しながら、日々これあることを幸いにシーカヤックの製作を続けています。
そんな日常に国立極地研究所から変わり種の仕事の依頼が入ってきました。氷の厚さを計測するための測定器やレーザー距離計を衝撃や海水から守るケースの修理です。一般に使われるものでは無いので製品として製作している訳ではありませんが、南極や北極で使用するためこれまでに何台も作ってきました。
今回は南極観測船”しらせ”の備品と予備の2台が送られてきました。南極海でときには数メートルもの厚い氷を割って進む際に、マイクロ波を照射して氷の下の海水面と氷の表面との差から周囲の氷の厚みを算出するものです。昨年は時化で海況が悪く、4メートルの長さになる測定器本体と共に前後のアーム状の部分が破壊されてしまったようです。
電波に歪みが出ないようにするため強度のある金属のボルトなどは使えませんし、解体したらなるべくコンパクトに収まる形状であることなど、いくつかの条件をクリアしながら作ってゆくことになります。それでもカナダの砕氷船での調査では水没して機器のショートが起こるなど、意図しないトラブルも発生したりして、これで万全という完成形は遥かに遠くてここからは見えません。
悩んだり試行したりと時間や経費などを度外視した作業に入ります。