年別アーカイブ: 2016

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狼藉のあと

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いつもの清々しい朝のこと。犬を連れて散歩に出ようとして異変に気づきました。 クルマの屋根やあたりの地面に大量の干し草。見上げる視線がクギ付けになったのは、壊された換気口のフード。先月あたりからこのフードの中にはスズメが巣を作って子育てを始めたらしく、小さな鳴き声がヂュンヂュンと聞こえていたのです。 忙しく出入りする親スズメを見ながら、黄色い三角なクチバシの雛が顔を覗かせる日を心待ちにしていました。地上からは4メーター以上もあるこの壁の突起は、親スズメもゼッタイ安心と判断して塒に選んだことでしょう。推察するに、状況証拠ではありますが犯人はカラスでしょう。劣化していたとはいえ、プラスチックのフードを、足掛かりもない垂直面でこれだけ破壊できる捕食者は他に考えられません。我が家で起きたことながら、この惨事には全く気がつきませんでした。 暴かれた大量の干し草に混じってフワフワの羽毛だけが残っていて、ヒナたちの姿は見当たりません。ちらばった巣材と一緒に、ちっちゃな恐怖の余韻が漂っていました。

やっぱりキレイだ

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製作をやめていたカナディアンカヌーを、およそ10年ぶりに復活させました。 生産中止を惜しむ声もいただいたのですが、需要が減ってきたこと、傷んできた型を作り直す時間がなかったこと、そして最大の理由は、保管状況によっては木製のパーツが腐食することでした。 シートやガンネルに使っている木材をアルミやプラスチックに置き換えるのは、腐食の心配が無くなったとしても決して美しいとは思えず、様々な条件が重なった時に自分で下したジャッジが生産中止だったのです。製作を止めてからも毎年1〜2艇の修理依頼があり、そのつど古くなって折れたり腐食した木部の交換をしてきましたが、また作ってみようと思うようになったきっかけが2つほどありました。 一つは、「東京にいる娘が帰ってくるので夏までに直して欲しい。これはその娘が産まれた25年前に買って支笏湖や道内あちこちに出かけた大切な思い出のカヌーだ。」という話しを聞かされたとき。それから、木製の食器などに使われている、無害で腐食を防ぐ浸透型樹脂の存在を知ったことも製作再開の一つです。 写真は、今月の初め秀岳荘のイベントで洞爺湖へ持って行った時のもので、パドラーは支笏湖畔で

伊藤健次著「アイヌプリの原野へ」

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誰にということではないが、この本と著者のことを誰かに伝えようとしてしばし時間を費やした。 学生の頃から知っている伊藤健次のことを何と紹介したら良いのか、登山家、エッセイスト、動物写真家、山岳写真家・・。そのどれもそうで、そのどれかではない。強いて言うなら、それぞれのレッテルの前に「北海道の」と付け足すのがいちばん相応しい気がする。その活動範囲が道内に留まるからではない。 アラスカ、アンデス、北欧、カムチャッカ、沿海州。 チャンスを待つのではない。自らの意思でその想いを切り開き、いつも自分の視点で摑み取ってきたものをやさしく見せてくれる。その視点の根っここそが、決してぶれることなく北海道なのだ。長い付き合いを振り返ると?マークがいっぱいだ。まず彼は、北海道の自然とは縁もゆかりもない埼玉県の北本市で生まれ育ち、高校では甲子園を目指す野球少年だったという。最後の夏休みに<青春18キップ>で日高を訪れ、そこでたまたまアイヌの人達にお世話になったのが彼の北海道の原点のようだ。 そこからがすごい。猛勉強して現役で北大に進み、冬山などとは全く縁が無かったのに<山スキー部>に入ると、猛烈

「ヒキョーだろオー」

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ムキムキボデイーのマッチョなじいさんが、勝ち誇ったようなイントネーションで『ヒキョーだろー」と自慢してみせる殺虫剤のCMがあるでしょう。 これを見る度に、誰からも見えない場所で同じように「卑怯だろオ」とほくそ笑む安倍晋三君が思い浮かびます。 アベノミクスによる景気の順調な伸びで税収は増えている。? 有効求人倍率は連続して伸びている。? と言ったかとおもうと、リーマンショック前夜。? 新興国の経済危機を招く。? だから消費増税は先送りすべきだ。? アベノミクスは順調に成果を上げているから失速させてはならない。? あきれるほどに破綻したロジックを恥ずかし気も無く口にできるこの人は、厚顔無恥という点では希代の総理と言えるでしょう。 増税前には駆け込み需要があり、増税後には消費が落ち込むのがはっきりしていて、それでも将来の社会保障の為にと17年4月からに決めた法律でした。「それまでにアベノミクスで盤石な経済状況ができるから再延期は絶対にない」との約束ををあっさり反故にしてしまい、この延期は国民の為の「新しい考え方」だとのたまわる。 どんどん紙幣を印刷し、大規模金融緩和とやらで銀行にマイナス金利

奇妙な果実

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頭上のありえない方向から人の声。??・・見上げると送電線の鉄塔の最上部に人影が。 目を凝らすと送電線にぶら下がる2人と鉄塔に掴まって別の仕事をする3人の影が逆光の中に蠢いている。 その様子を見ながら、ふっと想い出したのがストレンジフルーツというワード。 緊張を強いられながら仕事をしている人には失礼だが、「奇妙な果実」という図柄を連想してしまった。 ビリーホリデイが血を吐くように歌った「ストレンジフルーツ=奇妙な果実」は、つい数十年前まで米国南部で横行していたリンチ事件のことだから、この人達には全く関係がないのだが、ぶら下がる人達に古い映像の記憶が突然戻ってきた。 奴隷解放の南北戦争で南軍だった諸州、なかでもデイープサウス=深南部では、白装束のKKK=クー・クラックス・クランに代表されるような秘密結社が暗躍し、自立しようとする黒人や白人優位主義に反対する者をリンチにかけ、死骸を木から吊るして気勢を上げた。折しもニュース番組では、ケンタッキー州ルイビルからモハメド・アリの追悼式典を伝えている。黒人ながら白人を倒して金メダリストとチャンピオンになったが、レストランでは拒まれ、バスでは後部の黒