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41年前の札幌

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41年前のいま時分、札幌はオリンピックフィーバーで沸きあがっていた。 トワエモアの歌う「虹と雪のバラード」が繰り返しながれ、笠谷ら日の丸飛行隊が表彰台に日章旗を並べ、そしてジャネット・リンが尻もちと笑顔で世界を魅了した。40年以上という時を経てもやはり、札幌とオリンピックは切り離すことのできない関係を保ち続けている。高度成長の波に乗って膨張の一途を辿り、その前年に「最果ての百万都市」と呼ばれるようになった札幌は、五輪開催に合わせてさらに大きく変貌を遂げた。モータリゼーションの台頭で、邪魔者扱いになった路面電車の線路網は1系統のみを除いて廃止され、代わりに地下鉄が走り、道路は拡幅舗装されて現在につながる。 その後も札幌は道内国内から人を吸い寄せて2倍近い人口規模に膨らんだが、当時の競技施設である屋外スケート場やアイスアリーナ、それにジャンプ台やスキー場などは、観光施設であると共に今でも変わらず現役で競技に使用され、見る者にオリンピックの感動を蘇らせてくれる。その後に行われた長野でもそうだろうが、冬季五輪の開催によって、それまでほとんど無名だったSapporoが世界中に知られることになる。

最高最低寒暖計

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室温はともかく、外気温は今まで何となく<感>で判断していたが、もっとちゃんと確かめたくなって寒暖計が欲しくなった。それも最高と最低の気温が分かるヤツだ。 ホームセンターで店員に示された温度計の売り場には、デジ・アナ取り混ぜて数十種類も置いてあるが、せいぜいマイナス10℃までしか目盛の無いいわゆる室温計ばかり。若い店員では埒があかないのでサービスカウンターで確認すると、園芸用品売り場にもあるという。あったあった。水温計、地温計、そして水銀柱が2本並んだ最高最低温度計も。 小学生の頃、夏休みの自由研究で温度調べをする時に、気象予報官だった父が役所から持ち帰ってくれた、もう使わなくなった旧い温度計。<虫>と呼ばれるマーカーが水銀柱の中に入っていて、水銀の伸びに押されて移動し、下がってもその位置に留まって、それぞれ最高と最低を示してくれる懐かしいタイプだ。 ただ、残念なことに現品限りというそいつは水銀が切れて、パッケージの上からでは叩いても元に戻らなかった。ネットで探しても同じものが無く、「まァいいか」と取り寄せたのがこのバイメタル式寒暖計。イマイチ安物っぽくて信頼性に欠けるが、無いよりマシだ

禁煙力

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煙草をやめたのが東北大震災のすぐ後だから、もう少しで禁煙生活が二年になる。はっきりした決意があってやめた訳ではない。 確かにここ数年来喫煙に対する圧力が高まり、値上げや健康志向をきっかけに身の回りで禁煙する人が増えてはいた。公共と名を付けられる場所や建物は言うに及ばず、社会全体が魔女狩りのようにジリジリと喫煙者を追い詰め、吹き寄せられた狭い喫煙所の雰囲気は、そこを使う度に惨めな思いを貼り重ねてくれる。 外圧が高まるほどに負けん気も増幅し、「酒は飲んでも煙草は止めねェ」と、KYなオヤジギャグを繰り返して開き直っていた。それが、何のきっかけでやめる事になったのか。今になってもよく判らない部分がある。 近くのコンビニからセブンスターが無くなったのが、あの激烈な震災の3日ほど後だ。あらゆる物流に支障が出て、煙草だけではなくいろんなものが店頭から次々消えていた。その時点ですぐにあちこち走り回って買いあされば多少は入手できたかもしれないが、繰り返される津波の惨状と原発事故の報道に、そんな行動を良しとしない自分がその時はいた。 「洋モクにしたら?セブンスターは仙台の工場で作ってるから当分ダメだよ。」

やっぱり木が好き

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秀岳荘白石店のエントランスに立つ木彫りの看板を、新しいものに建て替えた。先代の社長に頼まれて、この店のOPENに合わせて建てたのが15年以上も前、それからずいぶん経って丸太の根元が腐り、かなり以前から少しグラついていたので、この際全部を新しくすることになった。そこで、頼まれると絶対に断らない何でも屋のおっさんとしては、やおら看板屋にモード変更して木工に取り組むことになる。犬ぞりや木艇のカヌーも最近ではほとんど作ることもなく、久しぶりに木の香りに囲まれてこころがちょっと嬉しがった。 山岳画家で文筆家の坂本直行さんの手になる字体を彫り進むとき、渾身の力で丸太をひっくり返すとき、まるで自分が木彫家の砂澤ビッキさんにでもなったような、小さい幸福感が身体のどこかを漂い続ける。古いものを撤去し、新しい看板を設置した先月初めには、根元周りの雪が土で汚れて心苦しかったのだが、今ではきれいな雪に覆われてずっと前からそこにあるかのように立っている。 樹脂や布や金属などの素材が嫌いな訳じゃない。でも、木を触るときに伝わる同じ生き物同士という雰囲気、力任せの荒仕事を許さないやさしさや温もりがやっぱり好きだ。こ

冷気はおもしろい

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南極は今が夏とはいえ、このところの北海道は昭和基地よりもずっと寒い日が続いています。 札幌も歳の暮れから今日まで一度もプラス気温にならずに真冬日の連続です。工房の朝は−15℃以下、昼間も−5℃を上回らないせいで、水分のあるものは何もかもがガンガラガンに凍りついています。 夜間は無人で火の気のない工房では、絶対に凍らせたくない飲料水を冷蔵庫に入れておくのを忘れると、翌日お茶も飲めないことになるのです。 冷え込んでいるときに外で深呼吸してはいけません。肺がビックリして咳が止まらなくなります。 何でも素手で触ってはいけません。うっかり冷え切った金属にさわると一瞬で凍りつきます。もしもくっついてしまったら自然に解けて離れるまでジッと我慢です。焦って剥がそうとすると手の皮がそこに残ります。 北国の暮らしにはいろんな現象に対する処方箋が必要です。写真は先日出かけた旭岳の中腹。晴れていれば正面にドーンと旭岳ですが、この日(7日)は、あまりに細かくて雪とはいえないほどの氷の粒が無数に舞う雲の中です。夏ならばこの状態は<ガス>と表現され、ナメて雨具を着ないでいると霧状の雨粒で全身ビッショビショになって