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元気な人

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「あのう、パタゴニアでお世話になったTですけど・・。」と、???な電話。 「はァ? エエと、どちらさん?」と一瞬の時間を作ってなんとなく思い出した。 突然で申し訳ないけど、相談にのって欲しいからこれから行くとのこと。南米最南端のケープホーン遠征で一緒だったTさんは、18年ぶりというのに工房の場所をちゃんと覚えていて1時間ほどで到着した。あの当時30過ぎだったTさんは、ちょっと肥った白髪あたまのオッサンに変わって(他人の事は言えないが)いたが、昔と同じ声やしゃべり口がうれしかった。以前勤めていた大企業の研究所を辞め、北大の大学院に入り直して特定外来生物の研究をしているとのこと。同じ研究室の同僚のS氏を伴っての相談とは、アライグマ用の壊れない捕獲罠だそうだ。大分県でウミガメの卵を食うアライグマの駆除に、北大の協力で成功したとの記事がちょうど朝刊に載っていたことを話すと、まさに彼らのことだという。 トラップに入ったアライグマは野獣の誇りを剥き出しにし、決して諦めることなく死に物狂いで脱出を図る。そして多くの場合それは成功するのだそうだ。 実際の効果は試してみないと判らないが、壊されないための

春の午後

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融解と凍結をくりかえし、すっかり堅くなった雪の上はキツネたちの楽園です。 じゃれ合ったり寝そべったり軽快に走り回ったりと、気持ち良さそうに明るい雪上で過ごすことが多くなりました。 右手前がルル、左手は去年生まれた子供(たぶんメス)です。夫のショーンも近くにはいるのですが、3頭並んでの昼寝はあまり見かけません。 今年はキツネたちの行動がいつもの年と違います。いったん親離れしたはずの子が一緒にいるのもそうですが、その子が邪魔で繁殖行動がうまくいかなかったのか、どうもルルのお腹が大きくなりません。 毎年この時期になると出産準備に掛かるのですが、遅い雪解けに合わせて出産も遅れるのでしょうか。昨日の雨は夜半から雪に変わり、今朝は4月というのに吹雪で15cmの積雪と、1ヶ月前の風景に逆戻りです。 せっかく片付け終わった除雪の道具をまた引っ張り出さないと・・。

35年の怠慢

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思いかえせば、人類を欺く大きなウソが次々と露見したのは1979年だった。 あの年の3月、フェイ=ダナウェイ主演の映画<チャイナシンドローム>が封切られた。 事故で非常な高熱となった核燃料が原子炉を融かし、土壌や岩盤さえも溶かしながら引力に導かれて地球の内部に向かい、ついには反対側の中国まで貫通するというブラックジョークなストーリーを、多くの観客は余りに荒唐無稽なフィクションとみて、深刻な危機の警告と捉える人はほとんどいなかったに違いない。 しかしその公開からわずか12日後の1979年3月28日、ペンシルバニア州スリーマイル島の原発で、人為的なミスからメルトダウンが現実のものとなる。 それまで、過剰に繰り返される安全神話に染められた我々だったが、偶然と片付けるには気味悪いほどのタイミングに、背筋に寒けを覚えた人も多かったに違いない。そのスリーマイル原発事故や映画に先立って、我が国では「原発ジプシー」というノンフィクションが堀江邦夫氏によって書かれ同年に発売された。自ら原発作業員として福島第一や敦賀で働く中で、ひどい搾取や労災隠し、使い捨てのような被爆管理など、国策として進められるエネルギ

桃太郎か!

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中韓にとどまらず盟友とする米国にまでも苦い顔をされ、それでも傲慢に自らの意思を具現化しようとする我が坊ちゃんは、この国をこの国民を何処へ向かわせたいのか。 愛国心教育に憲法改正、集団的自衛権の行使容認、武器禁輸措置の解除、特定秘密保護法制定と、いっぱいに切ったおもかじから手を緩める気配は無い。それどころか、周囲の意見を断ち切っての靖国参拝にはヒロイズムさえ漂わせ、意味不明の積極的平和主義とやらを繰り返す。 退却を転進、全滅を玉砕と言いくるめた大本営でもあるまいに、武器の輸出を防衛装備の移転と言い換えてはばからない。 アメリカが世界のどっかで喧嘩をしたら、一緒に出かけて行って相手を殺したいようだ。ここまで書いて桃太郎の童話を想い出した。そうか、我が坊ちゃんは桃太郎に、それとも犬か猿にでもなりたいのか。 エサで誘った家来と共に舟を仕立て、悪い鬼どもが暮す島へ乗り込んで寝込みを襲い、金銀財宝を奪って戻ってくる。 心配しながら浜で待つお爺さんとお婆さんからすれば、それはめでたい話に違いない。日本人なら子供の頃に誰でも聞かされる昔ばなしだ。 でもそこで終わらずに、鬼たちの側からちょっと考えてみる

春呼ぶ垂り

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春らしさを帯びた陽光のせいか、もう寒さに痛みを覚えるほどのことはありませんが、3月に入ってもずっと氷点下の日が続いています。この連続した3月の真冬日は、8日の時点で81年ぶりだと新聞が伝えていました。今日は10日ですから記録はもっと更新されているのでしょう。 例年この時期になると、冬のあいだ頻繁に除雪される道路だけは黒々とアスファルトをのぞかせるのが常ですが、今年はまだ白い轍が黙って伸びています。 空気は氷点下でも、軒のトタンは太陽に温もりをもらいはじめました。夜のあいだに積もったわた雪が少しずつ解かされ、垂り(しずり=雪が解けた水が垂れること)となってひさしに氷柱を作ります。その先端から水滴となって離れるとき、まるで太陽に同調するように光りながら雪面に落ち、そしてまだ見えない土に吸い込まれてゆきます。